「2017年最高の炒飯3」詳細に書いた長文レシピ

前の記事、前々の記事に引き続き、ここ1年間に私が炒飯を作ったり、調べて得た技術を結集した現時点での”最高の炒飯”のレシピをご紹介します。今回で完結です。

用意する具材などについては前々記事(→「~2017年 最高の炒飯⑴」 この1年間の最終形態)、
炊飯や煮豚づくりの仕込みについては前記事(→「~2017年 最高の炒飯⑵」 この1年間の最終形態
にて書きましたが、今回は用意し仕込んだものを炒め合わせます。

調理時間自体は5分程度で終わるはずですが、説明文は長いのでご了承ください。
理由とかどうでもいいという方は最初にレシピを書きますので、そちらを参考にされると良いと思います。
前回同様、基本的に全ての行程(レシピ)に理由を添えつつご紹介していきますが、客観的根拠のない手法を使ったりもしてます。つまりは経験則というやつなのですが、その辺は参考程度にご覧くださいね。
2017年までの、私の中の、暫定、”最強の炒飯”のレシピをご紹介します!

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目次

 




1、まずはレシピ!

私は良く話が長いと言われるのですが、レシピの説明をする長文になり要点が掴みにくそうですので、まずはシンプルにレシピのみをご紹介します。

用意する食材

ご飯:0.5合
卵:1個
塩:1.3g
白コショウ:0.2g
醤油:小さじ1/2
紹興酒:小さじ1/2
オイスターソース:小さじ1
ごま油:1/2
煮豚:写真くらい
長ネギ(白い部分):5㎝
鶏油:小さじ4

用意する器具


お玉

コンロ

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仕込みの段階で使ったものは省きました。煮豚の作り方、ご飯の炊き方など詳しくはこちらを参照してください↓
用意する食材、器具
炒める前の仕込み

炒飯の調理手順
①鍋を強めの中火にかける
#中華鍋の場合は、ここで油を馴染ませる作業をします。
⑴中火ではなく強火にし、空焼きする。
⑵軽く煙が出て生きたら油をたっぷり注ぎ、鍋全体に馴染ませたら捨てるかポットに戻す。
⑶強めの中火に戻す

②鶏油:小さじ4をいれ、箸を油につけるとジュッとなるまで加熱する

③溶いた卵:1個を油の溜まったところへ手早く注ぎ、揚げるような状態にする

④全体が半熟になるように混ぜ、生の部分がなくなったら鍋からご飯の皿に移す

⑤半熟卵とご飯を良く絡め、卵でご飯粒を薄くコーティングする

⑥鍋に残っていた油で混ぜたご飯を炒める

⑦よく混ぜながら炒め(3~4分くらい)、卵にしっかり火が通たら、ごま油小さじ:1/2に絡めた長ネギと、5mm角に切った煮豚をご飯の上に一気に投入する

⑧煮豚があまり鍋に触れないよう意識しつつ混ぜ合わせ、塩:1.3g・白コショウ:0.2gをムラなく振りかける

⑨味にムラが出来ないように混ぜ、白コショウの香りが少し減ってきたら(30秒くらい)紹興酒:小さじ1/2とオイスターソース:小さじ1を混ぜたものをご飯にかけ、その後に醤油:小さじ1/2を鍋肌から回しいれる

⑩紹興酒とオイスターソースの水分を飛ばし、紹興酒の香りが弱くなる前(15秒くらい)に火を止める

⑪皿に盛りる

⑫完成!!(すぐ食べる)
です。

こう見るといたってこだわりあるレシピには見えませんが、これから各工程の理由や細かな注意点、他のパターンの作り方はどんなものがあるかを書いていきます。
注意点には実際に調理する際に大切なことであったりしますので、説明に興味がない方も、そこだけ読むと有意義かもしれません。

2.レシピの理由・注意点・別パターン

さて、それでは各工程を見ていきましょう。

①鍋を強めの中火にかける
理由→「なぜ強火でないのか」
まず最初に、炒飯は強火で一気に炒めるのがセオリーです。お店の場合は殆ど強火で炒めていると思います。しかし、よく言われることではありますが、家庭用とプロの使うコンロでは10倍近く火力に差があります。テレビで見かけるような、”鍋を大きくあおり炒飯の米粒が宙を舞い続ける”といった炒め方は一般家庭では効果的ではありません。

そんな中、家庭で美味しい炒飯を作る方法として、強火を使わない方法があります。
以前、「ロジカルクッキング」”脱常識”チャーハンに影響されるにて弱火で炒める炒飯を作ってみましたが、卵やご飯の旨味がしっかりしており、とてもおいしく感じました。

弱火で炒めることで、食材が余分に加熱されず、卵とご飯そのものの美味しさが際立ちます。お店で食べる炒飯とは別物ですが、美味しいという意味ではクオリティーが高いです。
よって今回は、あえて強火ではない炒飯を作ります。プロと同じように作ることは環境的にも難しいですが、弱火でも美味しく作れることは分かっているため、強火は使わず、火力を落とした美味しさも求めてみます。

正直、強火・弱火のメリット・デメリットを正確に比較できていません。が、現段階の体感としては、弱火より強火より、強めの中火あたりが美味しく感じます。(炒飯1人前を作る場合)

理由→「なぜ強めの中火なのか」
訳は、卵を揚げるように加熱し、香ばしさを出すためです。
炒飯のコツとしてたまにネットで見かけますが、卵を揚げるように加熱すると風味や舌触りが良くなって美味しいです。

卵が油を抱き込む乳化作用の働きとしては、高温の油の方がよく油抱き込むようで (真偽のほどは現在調べています。今のところの見解として、卵が乳化剤としての最も温度は18℃程度と聞いたことがありますが、油と水が良く混ざり合うという意味(攪拌という意味?)で、高温状態で卵と合わせる方が、より油を抱き込むみたいです。ペペロンチーノのソースを作るとき、ある程度高温の油と、ゆで汁を一気に混ぜ揺するのとよく乳化するのと同じ原理と思われます。(ペペロンチーノを作るとき、鍋を揺する必要はないとも聞いたことがありますが、とりあえず気にしないでおきます…))、ぶくぶくと油を吸い膨れた状態の卵が美味いです。

注意点→「火加減の目安」
強めの中火ってどのくらいだよ!と感じた方も少なくないかもしれません。火力の調整は難しく、また使う鍋によっても変化させるべきなのでしょうが、実はこの工程の場合は、火力の正確さは重要ではありません。

というのも、”理由→”のところで書きましたが、メインは強めの中火で卵を揚げるように加熱したいのです。弱火で油を加熱していてもいつかは油が高温に達するため、油の温度を上げるだけであれば、あまり火力は影響がありません。

ただ、卵を入れた後、卵の温度で油が急激に冷やされるため、油の温度が下がりすぎないよう保つため、強めの中火にしています。ので、そこまで正確さは必要はないです。
#中華鍋の場合は、ここで油を馴染ませる作業をします。
⑴中火ではなく強火にし、空焼きする。
⑵軽く煙が出て生きたら油をたっぷり注ぎ、鍋全体に馴染ませたら捨てるかポットに戻す。
⑶強めの中火に戻す

理由→「鍋に食材がくっつきにくくするため」
中華鍋を使って調理される方はこちらの工程を踏んでください。そもそも強火でない場合に中華鍋のメリットは少なく(というかあるのでしょうか?)、むしろデメリットが多いように思いますが。
中華鍋で調理する際は、基本的に空焼き→油をなじませる→炒める、揚げるという流れが基本です。こうすることで、鍋に食材がくっつきにくくなります。

②鶏油:小さじ4をいれ、箸を油につけるとジュッとなるまで加熱する
理由→「香りは飛ぶが、鶏油のがっつり感は残る」
鶏油を炒め油にとすると、香りは飛んでしまいます。すると安いサラダ油で炒めればいいじゃんと思われるかもしれませんが、仕上がりの食べごたえに差がでます。鶏油で炒める炒飯はこってりと厚みのある味になるのです。ただ、仕上げに香らせるために鶏油を加えるのもまた素晴らしいのですが。

注意点→「油は酸化させない」
卵を揚げるように加熱すると言いましたが、油の加熱しすぎも良くないです。これは中華鍋を使い強火で炒めるときにありがちですが、ついつい油を加熱しすると、油が焦げてきたり、酸化しすぎて嫌な香りや味が出てきたりします。火にかけたまま長いこと放置するのはやめましょう。

別パターン→「正直どんな油でもうまい」
炒飯を炒める際に、正解の油はない気がします。ごま油でもラードでも、オリーブオイルでも、キャノーラ油でも、どれも違った良さはあります。香りのある油は炒め油にすると仕上がりの頃には香りが飛んでしまい意味が薄いです。しかし、仕上がりに影響がまったくないわけでもありません。私は普段キャノーラ油で炒飯を作っていますが、クセがなく食べ飽きにくいです。家に鶏油なんかねえ!って方は、ある油でいいと思います。(焦げやすい油、バターとかはおすすめしませんが。扱いがムズイので)
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③溶いた卵:1個を油の溜まったところへ手早く注ぎ、揚げるような状態にする
理由→「なぜ油の溜まったところに注ぐか」
先ほど、加熱した油に卵を入れることで沢山の油を抱き込ませると書きましたが、効率良く油と反応させるには沢山も油と一緒にすることが大切です。究極、揚げ油に溶き卵と注ぐのが一番効率良く乳化するはず(はず)です。

ではそれに近い状態にするため、卵を油で揚げる状態に近づけるために、油の溜まった(傾けて溜めた)ところに溶き卵を注ぐという訳です。

理由→「なぜ手早く注ぐか」
これは単純な理由で、溶き卵の加熱具合にムラが出来るからです。ゆっくり卵を注いでしまうと、先に注いだ卵がどんどん固まっていくのに対し、注いでいる卵は生の状態です。すると、最悪先に注いだ卵が焦げてしまいます。

また今回は、半熟卵によって米粒をコーティングしますが、そのコーティングに対しても加熱具合のムラは悪影響を及ぼします。加熱により固まってしまった卵では米粒をコーティングするほどの粘性はなく、ご飯はパラパラになりにくいです。逆に、生の卵では米粒をコーティングしすぎてしまい、パラパラにはなるもののぼそぼそとした触感になります。そのため、卵は均一に半熟である方が、美味しくパラパラな炒飯となります。

注意点→「卵は常温に戻しておく」
肉を調理する際にも、”常温に戻しておく”と書いてあることがあります。これは冷蔵庫内の温度から常温に肉の温度を上げてやることで、加熱による温度差を少なくするためです。(それだけではないらしいですが。)要するに、冷たいままの肉を加熱すると、表面はすぐに火が通るのに対し、中心部はまだ冷たい状態が生まれてしまうということです。

溶き卵の場合は、中心部や外側などは存在しませんが、加熱の具合に差が出来やすいことは同じと予想できます。(溶き卵にはある程度の粘性があり、加熱されにくい部分、されやすい部分があるので)
また、私は納得出来てないのですが、冷えた状態の卵を(というかなんでも)一気に過熱してしまうと焦げやすくなってしまうそうです。そのためちゃんと常温に戻しておく必要があるそうですが、割と色々なレシピで見かけるので、信憑性はありそうです。やるに越したことはないということですね。
ですが、溶き卵にしてから常温に戻そうとすると食中毒にかかる可能性が高くなるため、殻が付いた状態で常温に戻すことをおすすめします。

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④全体が半熟になるように混ぜ、生の部分がなくなったら鍋からご飯の皿に移す
理由→「半熟で米粒を薄くコーティングする」
先ほども書きましたが、半熟卵でご飯をコーティングします。しっかり火の通った卵では米粒はコーティングできませんし、生の卵ではコーティングの層が厚すぎるため触感が良くありません。

(卵1個分を半熟にしたものと、卵1/2個分の生卵では、同じ数の米粒の表面をコーティングできんじゃね?と思ったことがあり、生卵1/2個分をご飯にかけたとこがあります。結果、個人の感想としてですが、半熟1個の方が生卵1/2個よりもコーティングの層が薄く感じました。そのため半熟で米粒をコーティングした方が良いと思います。

また、炒飯を作る際は、溶き卵はを加熱した鍋に注ぎ、鍋底に触れた卵は固まり、触れていない上の卵は生の状態であるため、ご飯をパラパラにするにはこの生の部分の卵で米粒表面をコーティングすることでパラパラ炒飯となる、という説明を聞いたことがあります。

これは生卵によってご飯をコーティングすることが前提となっています。しかし先ほども書きましたが、生卵ではコーティングの層が厚くなると感じました。よってこの説明通りではなく、生の部分がなくなるよう、固まる部分がないよう良く混ぜながら卵を炒め、全体が半熟の状態で米粒をコーティングすべきと思われます。)

理由→「なぜ鍋から移すか」
これは、卵を半熟以上に加熱しないためです。余熱でそれなりに火は通りますが、しっかり固まってしまうほどではありません。鍋から移すことで急いでご飯粒と混ぜ合わせる必要はなく、しっかりご飯全体をコーティングし、パラパラ炒飯を作りやすいです。

(ではなぜプロがこの鍋から卵を移さないしないのか考えてみました。恐らく、わざわざ加熱を中断しなくてもパラパラに作れるため無駄に調理時間が延びることが一つの理由。もう一つの理由は、”強火で米粒表面だけを加熱し、鍋をあおることで米粒表面が空中で冷やされ、また鍋に着地し表面だけが加熱されることを繰り返す”、というプロの高火力ならではの炒め方に対して、鍋から移すことが無駄であることです。加熱した卵を鍋からご飯の上に移してしまうと、火から離すことと卵より低い温度のご飯に触れることで卵が冷え、逆に加熱しすぎたくないご飯が卵の熱で温まってしまいます。
これ以外の理由もきっとあるでしょうが、まあこういった理由もありプロはこの加熱を中断し鍋から移す手法を使わないのでしょう。逆に言うと、不慣れでプロのような高火力を使えない我々素人には鍋から移す手法は便利であると思われます。)

注意点→「卵の加熱具合の目安」
私の中の目安としては、”加熱した卵をざるにあけても卵液が滴らないが、箸ではつまめないほどの柔らかさ”と考えています。はい。

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⑤半熟卵とご飯を良く絡め、卵でご飯粒を薄くコーティングする
注意点→「米粒1つ1つを意識して絡める」
私は箸を使い、米粒1つ1つがうっっすら黄色っぽくなるように絡めています。
米粒をうまくコーティング出来ていると、絡めた時点で既に米粒同士がばらけてます。
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⑥鍋を強めの中火に、少し鍋に残っていた油で混ぜたご飯を炒める
理由→「なぜ加熱するのか」
そもそも、半熟卵で米粒をコーティングした後、なぜ加熱するのでしょう。その理由は、「香りを立たせる・消す」「水分を蒸発せる」「触感を硬くする」の3つためと考えています。

加熱をすることで、香り成分は揮発します。それを利用し、香りを立たせたり消したりします。醤油、ゴマ油、紹興酒、コショウなどを加熱をすることで、香りが立ちます。また卵の香りは、加熱により香ばしい香りが立つ一方で、卵は数分炒めることで、卵の生臭さ(アミン系の香りらしい)は消すことが出来ます。(魚の生臭さを焼き目をしっかりつけるように加熱することで、トリメチルアミンが揮発し生臭さがなくなるのと同じです。)

水分を蒸発させるというのは、パラパラ炒飯において水分というのは大敵です。(水と熱により米が糊化してしまい、米粒同士がくっついてしまうため。)そのため、加熱により醤油や酒などの水分を飛ばして香りだけを炒飯にまとわせます。
触感を硬くするについては、加熱を続けることで卵や米粒、具の水分を飛ばし硬くします。また、卵や肉はたんぱく質が熱により変性し固まることによっても硬くなります。

注意点→「油で炒めないとぼそぼそになる」
以前、「炒飯に油は本当に必要なのか?」「炒飯のパラパラさに油は必要なのか?」という記事で書いたのですが、炒飯を作る際に油は大切です。ないとぼそぼそな触感(滑らかさがない)、パラパラになりにくいという欠点があるため、油は引いた方が美味しい炒飯が作れます。

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別パターン→「普通の鍋は追い油でパラパラに」
鍋に残っていた油で炒めると書きましたが、普通の鍋、テフロン加工やマーブル加工と言った鍋を使った場合、卵が全ての油を吸い取っていることがあります。すると半熟卵でコーティングした米粒を炒めてもパラパラになりにくいです。そんなときの裏技?が、「追い油」です。ただ油を炒めている途中で加えるだけですが、卵でコーティングされた米粒が油でさらにコーティングされ、パラパラになりやすくなります。量は小さじ2程度あれば十分かと思います。とにかくパラパラにしたい!という場合は、炒め油を増やすではなく、途中で油を追加してやるとグッとパラパラにしやすくなります。
ただ、油の量が増えるのに抵抗がある方はあまりお勧めしません。また、このあと加えるごま油の量を増やすのも香りが強くなりますが、パラパラになります。

⑦よく混ぜながら炒め(3~4分くらい)、卵にしっかり火が通たら、ごま油小さじ:1/2に絡めた長ネギと、0.5mm角に切った煮豚をご飯の上に一気に投入する
理由→「なぜ3~4分か」
強火で炒めているときは、2~3分くらいで仕上がりますが、強めの中火としているので長めに炒めます。プロとかになると1~2分で炒めている動画を見かけますが、あれは家の火力では難しいように思います。卵にしっかり火を通して、米粒の水分を軽く飛ばしていると3~4分くらいでちょうどいいかなぁと思います。

理由→「なぜごま油、長ネギ、煮豚を一気に投入するか」
しっかりご飯と卵を炒めた後、他の具材はさっと温め香りを少し立たせるだけでOKです。そのためのんびり炒飯に合わせている暇はなく、一気に鍋に投入します。
ゴマ油は加熱時間が長いとすぐに香りが飛んで(揮発)しまうため、仕上げに入れます。
長ネギの香りを立たせつつ、シャキッとした触感を残すには仕上げに少し加熱するくらいがいいです。
煮豚はせっかく低温調理をして最低限の加熱だけで仕上げたので、その触感や味を活かすためにあまり加熱しないようにします。

理由→「なぜご飯の上に投入するか」
これは、鍋に触れないようにするためです。鍋にごま油、長ネギ、煮豚いきなり触れてしまうと、触れた部分が高温になってしまいます。そのため、ご飯にのせたのち混ぜることで直接的に加熱される部分を減らし、炒飯の中で蒸されるようにじんわり加熱します(もちろん鍋肌に触れる煮豚や長ネギもありますが、投入段階でわざと鍋肌に触れさせるようなことはしないということです。)

別パターン→「長ネギをしっかり炒める」
「炒飯はネギから炒めた方がおいしいのか?」にて書きましたが、長ネギは炒め始めるタイミングにより、役割が変わります。
・最初から炒める→油の臭みをネギの硫化アリルで消臭できる。
・ご飯投入の後から炒める→香りの量は減るが、香ばしさ、触感のカリッとした感じをだせる。
・仕上げに炒める→香りが一番立った状態で火を止めれる。シャキッとした触感が残る。鮮やか。
・火を止めた後に加える→ネギの辛味も味わえる。触感が一番シャキシャキしており、パンチがある。
という具合に、色々なタイミングによる良さがあります。

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↑この写真だとネギも煮豚も鍋に触れてるじゃねえか!って思われるでしょうが、すいません。ミスりました。本当はご飯の上にのせるつもりだったのですが…

⑧煮豚があまり鍋に触れないよう意識しつつ混ぜ合わせ、塩:1.3g・白コショウ:0.2gをムラなく振りかける
注意点→「計量した粉末はムラになりやすい」
塩1.3gと白コショウ0.2gを電子秤で計量する場合、おそらく何かしらの容器(スプーンや皿)に乗せていると思います。その場合、容器から炒飯に塩コショウを振りかけようとすると、一気にドバっとかけてしまったりして、均一に振りかけるのが難しいです。薬包紙のようなサラサラしら表面のものに塩コショウを乗せられればいいですが、そうともいかないので頑張るしかないです。小刻みに容器を振ってみたり、指で塩コショウを摘まんで振りかけ、容器に残った分を指で払ったりして、何とか均一に塩コショウを振りかけましょう。
私は不器用なので割と失敗します。
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⑨味にムラが出来ないように混ぜ、白コショウの香りが少し減ってきたら(30秒くらい)紹興酒:小さじ1/2とオイスターソース:小さじ1を混ぜたものをご飯にかけ、その後に醤油:小さじ1/2を鍋肌から回しいれる
理由→「白コショウの香りを軽く飛ばす」
白コショウの香りも乙なのですが、少しパンチが強いので私は軽く香りを飛ばす派です。30秒くらい香り成分を揮発させます。

理由→「なぜ紹興酒とオイスターソースをご飯にかけるのか」
紹興酒をご飯にかける理由は今回はないです。米粒の水分を飛ばしすぎた場合の蘇生法として酒をご飯にかけるというのはあるのですが、今回はそこまで炒めていません。
これはオイスターソースをご飯にムラなくかけるためです。以前にも書きましたが、オイスターソースと紹興酒を混ぜておく理由は、オイスターソースを紹興酒に溶かし粘性を下げ、ご飯全体に回しがけられるようにするためです。ので、オイスターソースの味(うま味)をご飯にムラなくかけるため、ご飯に直接かけます。

理由→「なぜ醤油を鍋肌から回しいれるか」
実はこれには議論がありまして、醤油はご飯に直接かけた方がいいのか、それとも鍋肌から注いだ方がいいのかという問題です。ご飯に直接かけた方がいいという派は、醤油が焦げてしまうことで、苦く、また嫌な香りがすると主張します。鍋肌から回しいれた方がいいという派は、炒飯にかかる水分をなるべく減らすため、鍋肌から回しいれ、香りを立たせっつ炒飯にかかる醤油は少量に抑え、かつ鍋肌で一気に過熱することで、焦がし醤油のような香ばしさが生まれると主張してます。

私が両方の手法を試してみた結果、確かにどちらのいうことも正しいと思いました。言われてみれば苦いけど、香ばしくもあるのです。今回の場合は強めの中火のため焦げる心配は少なく、また焦げることよりも香ばしい方が総合的に見て美味しいと感じたため、鍋肌から回しいれる方法を採用しました。

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すみません醤油を垂らす写真を撮れませんでした。(時間的に余裕がなかったです)

⑩紹興酒とオイスターソースの水分を飛ばし、紹興酒の香りが弱くなる前(15秒くらい)に火を止める
理由→「なぜ水分を飛ばすか」
何度か書いていますが、炒飯にとって水分は大敵です。米の糊化によって団子状になりやすくなりますし、触感が水っぽいのはパラパラに仕上げた触感に反するように思います。ので、仕上げの前にしっかり水分を飛ばします。

⑪皿に盛りつける
理由→「鍋はすぐ冷えないから」
出来上がった炒飯を鍋に入れたまま食べるのは危険ですし、鍋は火から離してもしばらく熱を持っているので炒飯の加熱が続いてしまいます。ので、鍋から皿へ移しましょう。

注意点→「皿をあたためる」
面倒ですが、皿を温めておくと、炒飯がより冷めないですね。ストーブの前に置いておいたり、お湯を注いでおいて皿が温まったらお湯を捨て、水分をふき取ったりなどして皿を温めておくと、高級店のホールのような気持ちになれます。

⑫完成!!(すぐ食べる)
理由→「すぐ食べた方がうまい!」
料理はすぐ食べた方がうまい場合が多いです。「炒飯は時間が経つほど味が薄くなるというのは本当か?」にて書きましたが、炒飯は放置すると味が変わります。というのも、どうやら味が米粒の中に染み込んでいくようです。そのため、米粒表面についていた塩やら醤油やらが米粒内部へ入り、舌による味の感じ方に変化があるようです。また、時間がたつと米粒などから水分が抜けてしまうので触感も悪くなっていきます。

また、人間の舌は温度によって味の感じ方が変化します。温かい食べ物として好まれる温度はおよそ61~67℃らしいです。また、甘味、旨味は温かいと感じやすく、苦味は冷たいと感じやすいようです。(溶けたアイスが甘い、ホットコーヒーは飲みやすいのはこのため)塩味、酸味というのは感じ方が温度に影響されにくいらしく、他の味の変化によって塩気、酸味が強くなったように感じるそうです。(みそ汁が冷えると旨味が弱く感じ、結果として温度に影響を受けにくい塩味が強くなったように感じる)

よって、すぐ食べないと、炒飯の味も変わるし、舌の感じ方も変わってしまうため、すぐ食べる方がいいのです。
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3.感想

・お店で食べる炒飯とは違った味だが、卵の旨味、美味しさが際立っていた。
・煮豚のしっかりと歯ごたえのある触感と、長ネギのシャキッとしつつもごま油による滑らかな舌触りが絶妙だった。
・複雑で、奥行きがあり食欲をそそる香りになった。
・ご飯粒の美味しさもしっかりしていた。

4.このレシピを書いた感想

科学に基づいた鉄壁のレシピを書くことは出来ませんでしたが、割と細かいところまで配慮することは出来たように思います。正直、曖昧さや間違いは沢山含んでいるレシピではありますが、このレシピ通り作れば少なくとも私は美味しいと思います。舌バカと言われた事はないので多分普通に美味しいはずです。
常々思うのですが、より科学的な、再現性のあるレシピを考えていくと、工場で作る冷凍食品の炒飯にたどり着くのではないでしょうか。あの炒飯を開発しているプロたちは、おそらく科学的根拠に基づき、効率的に、正確な数量(グラムや時間、加熱温度など)を導き、コスパを判断基準に製品化しているのでしょうが、私の炒飯の行き着く先も同じに思えます。違いといえば、冷凍しないこと、家庭のキッチンで作ることでけで、私が発見したこともすでに当たり前に知っている人たちがいるのかなと思うと虚しくなりそうです。しかし、私は知ってる情報を公開出来るため、その点はいいのかな(?)と思います。

まだしばらくこのブログを書いていく予定ですので、読んでいただけたら幸いです。
最後まで読んでくださりありがとうございました!
~2017年 最高の炒飯 ⑴と⑵:「~2017年 最高の炒飯⑴」 この1年間の最終形態
「~2017年 最高の炒飯⑵」 この1年間の最終形態

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2 thoughts on “「2017年最高の炒飯3」詳細に書いた長文レシピ”

  1. 卵を炒めて取り出す、それも一つの手でしょうが鉄のお玉があれば、カンカンの所に卵を入れる→3秒くらい炒める→ご飯を入れる→ご飯をお玉の腹で潰すように広げる→鍋を1回振ってフライパンの接地面にご飯、ご飯の上に卵の状態にする→お玉で全体が馴染むように潰す様に手早く!時に振りながら混ぜる
    ってやると綺麗にうすーく膜がかかりますよ!難しい技術かもわかりませんがなれるとこの方が馴染みがいいと思いますよ!
    時間制限、鍋振りとお玉のさばき。チャーハンが中華の中で難易度が高い料理とされる理由ですね…頑張ってください(*´-`)

  2. こんにちは!炒飯の歯車と申します。
    「炒飯の味付けは醤油だけでいけるんじゃないか説」の記事にコメントを下さった方でしょうか?ご丁寧なアドバイスありがとうございます!
    最近この記事でご紹介した方法でご飯と卵を炒めるのと、強火で炒め続ける炒飯の味に違いを感じており、おやっ?…と思っておりました。
    ご飯の上に半熟卵をのせ、お玉で潰す様に混ぜるといった手法を知らなかった訳ではないのですが、どうにも安定して旨くいかず….
    なるほど、とりあえず鉄のお玉を買ってみようと思います。
    なれるまで何度も繰り返す前に、別の手法に逃げてしまいましたが、改めて薄い膜がお米にコーティングされるように練習したいと思います!!
    卵を直接鍋に触れさせないことで、卵が固まる速度を遅くするという狙いでしょうか。
    やはり強火で卵とご飯を絶妙に絡めることにこそ、炒飯の神髄があるのでしょうか。
    炒飯を作りたくなってきました。鉄のお玉、ご飯の上に卵を乗せて混ぜる手法に関しましても、検証し新しい記事として投稿するかもしれませんが、ご了承ください。
    お暇なときにまた読みに訪れて下さいね!
    そしてあわよくばまた私にアドバイスを下さるとありがたいです。
    コメント本当にうれしいです!ありがとうございます!!

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