「塩漬けもも肉と九条ネギ盛り炒飯①」丼のように

前回作った炒飯で、九条ネギを加熱せずに生で使った方がさっぱりとしていて美味しいのでは?と思いました。

そこで、今回はネギや鶏もも肉を丼もののようにして炒飯の上にのせてみます。一緒に炒めると味的にまとまりが出来ますが、まとまりより味のコントラストを強調し、あえて具を炒飯に盛り付けるだけにします。

もも肉は炊飯器を使って低温調理することで、”しっとり”かつ”グニッ”とした歯ごたえを活かし、味つけは肉を塩漬けにします。
炒飯そのものは普通の味ですが、その上に具を乗っけるという丼ものスタイルの炒飯、”丼もの炒飯”というジャンルで考えましょう。

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目次

1、鶏もも肉を低温調理で超しっとりさせる
2、丼もの炒飯
3、「塩漬けもも肉と九条ネギ盛り炒飯」レシピ
4、感想
5、炒飯の進化に活かせそうな発見

このレシピを参考にしようか迷う方は感想を読んでみて下さい!

1、鶏もも肉を低温調理で超しっとりさせる

以前、炊飯器にいれるだけでトロトロチャーシューが作れるというレシピをご紹介しました。
「二郎系チャーハン」 のチャーシューの作り方のレシピ参照
トロトロで柔らかく煮込んだ肉というのは、高温、高圧、長時間などの条件で加熱することで、肉の繊維を壊すという調理です。炊飯器に入れるだけでトロトロチャーシューになるというのも、炊飯ボタンを押すことでタレと一緒にいれた肉が、沸騰状態(高温)で加熱され、その後保温モードで少し温度をさげて長時間加熱し、繊維を壊します。

今回ご紹介する低温調理は、その逆の加熱方法です。
肉がをより多く水分を保った状態で仕上げるため、炊飯器の保温機能を使い、肉の変性的にちょうどいいとされる温度に保ち、必要最低限でじっくり肉全体に火を通します。
肉の低温調理について調べてみると、55℃~70℃の範囲の温度を薦めているものが多く、”丁度65℃が正解”といいうようなベストな温度は分かりませんでした。(たんぱく質の変性温度は正解がありますが、料理の場合は正解が一つではないのだと思います。)

いくつか読んだ感想としては、60℃ちょい(61、62℃くらい。牛とかは生でも食べれるから55℃くらいで中心はレアみたいな例外もあります。)が適温のように思いました。
しかし、そもそも炊飯器の保温機能で1℃単位の調節をするのは難しいので、おおざっぱにいっちゃいましょう。 (低温調理機を持っている方は62℃ちょうどで3時間くらい加熱してみてください)
さて、炊飯器で低温調理ををする方法を調べると、お湯と水をいれ、温度調整する方法をとるのが一番簡単そうです。他には、蓋を少し開けておくことで、熱を逃がし温度が高くならないようにする方法もありました。

私も一般的な方法をとり、炊飯器に熱湯を注いでその後からい水を加え水温を65℃くらいに調整しました。しかし、塩をまぶした肉を袋にいれ、65℃くらいのお湯に沈めた10分後。炊飯器を開けて水温を測ってみると、59℃まで下がっていました。

「ん?」と思い、「あ。肉の温度が常温だったから熱平衡で温度が下がったのか。」と理解しました。そこでふと、そもそも炊飯器の保温モードというものについて良く知らないことに気が付きました

炊飯器の温度制御(マイコンでやってるようです)について調べてもよくわからなかったので、簡単に自分で実験してみることにしました。
使っている炊飯器によっておそらく違いがあるでしょうし、炊飯器の劣化や放置することによって温度が外へ伝わってしまうと思いますので、自分が使用している炊飯器の保温モードについてそれぞれ調べる必要があるのではないかと思います。

私が調べたのは、
「水をいれて保温モードを押してしばらく放置したときの温度変化は?」 → ちょっと温度が上がりましたが、ぬるま湯程度で、40℃も越えませんでした。

「水をいれ、炊飯ボタンを押してしばらく放置したときの(炊飯終了後、保温モードになり、その状態で放置)温度変化は?」 → 75℃くらいになっていました。炊飯終了後は90℃くらいだったのが、多分徐々に下がっているのだと思います。(かなりゆっくりではあるが)

「70℃くらいのお湯を保温モードにして放置したときの温度変化は?」 → 2時間後くらい(たしか)に温度を測ったところ、68℃くらいでした。
ということについてです。

この結果から、うちの炊飯器の保温モードで肉の低温調理をするのに考えるべき条件は、
・放置しておくと温度が少しずつ下がる
・炊飯器内の温度を保とうとするため、冷えた肉と65℃のお湯を入れた場合、冷えた肉とお湯の熱平衡状態
(熱平衡状態とは、氷水の氷が解け切ったときのような、最終的な状態(簡単にいうと。簡単に。)) の温度(65℃未満)で保とうとするため、あらかじめお湯の温度を高めにするか、肉の温度を上げておく。炊飯器内の温度を一定に保とうはしますが、それだけの火力がない、熱が逃げてしまうという状況と思われます。常温に近い温度だと、保温モードにもかかわらず少し温度上昇があることから、ある程度の設定温度帯(高温過ぎず、低温過ぎず)に常に入るように作られているか、低い温度状態で、やっと加熱能力と自然に下がる温度が釣り合うのかもしれません。こうして考えると大量のパターンが考えられます。センサーの仕組みとか、加熱能力とか、温度条件の場合分けとか、実際のプログラムは複雑な工夫がされているでしょう。機械面の仕組みを頑張って調べたほうがよさそうです。
炊飯器の制御について詳しい方なら、「全然違う!」と思われる文章だったかもしれませんね。色々教えて頂けると嬉しいです….)

結論。
炊飯器で鶏もも肉の低温調理をしたいのでしたが、それにはベストよりちょい高めの水温に、常温の肉をいれれば丁度ベストの温度で落ち着くということです。簡単ですね。
「ちょい高めの水温じゃ肉の表面は必要以上に加熱されてしまうじゃないか!」
その通りです。でも面倒くさいので気にしません。それでも仕上がりはかなりしっとりしてますよ。
(肉の温度を上げておき、炊飯器内の温度が下がらないようにした場合の、必要最低限加熱バージョンもご紹介します。)



2、丼もの炒飯

具を一緒に炒めずに、マグロ丼や豚丼のように、ただ具を炒飯の上に盛った料理を”丼もの炒飯”と呼ぶことにします。

ではこの丼もの炒飯。具を混ぜて炒める場合と比較してどうメリットがあるのでしょう?
・具の味が分かりやすい

・具を好きな配分で食べられる
 (カレールーをご飯にかけるか、ご飯とルーで半々にし好きな配分で食べられる的な)
・具を加熱せずに使える (加熱で水分が飛んだり、触感がダイレクトに感じられたりします)
がというところでしょうか。

私のイメージとしては、つけ麺の別添えの具みたいな感じです。逆に分かりにくいですかね?酢飯とマグロの刺身の関係も同じイメージです。
まあ、作ってみましょう。

3、「塩漬けもも肉と九条ネギ盛り炒飯」レシピ

——-作り方——-
材料
鶏もも肉:写真の切り分けた後の量
ご飯:0.5合
卵:1個
塩:1.2g
白コショウ:0.2g
だしの素:0.3g
濃口醤油:小さじ1/2
ごま油:小さじ1/2
お酢:小さじ1/2 (写真は鎮江香酢という独特な香りのする黒酢。お酢と紹興酒っぽい香り)
キャノーラ油:小さじ4 (写真はいつかの揚げ油を使っています)
九条ネギ:写真くらい (九条ネギは葉ネギという青い部分を食べるネギです。普通の長ネギより数十円高いですが、その辺で売ってると思います)

手順
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①鶏もも肉に塩をまんべんなく振りかけとく
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②袋またはジップロックに肉をいれ、水に肉をいれた袋をいれて空気を抜く (加熱中に浮いてこないように)
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③炊飯器を保温モードにし、水をたっぷり沸かして炊飯器に注ぎ、温度を測りながら水を混ぜて68℃くらいにする
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④肉をいれた袋をお湯にいれ、炊飯器にいれて蓋を閉め、2時間低温調理する
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⑤塩、コショウ、味の素を計量し、卵を溶き、醤油・ごま油、お酢を合わせて用意しておく、暖かいご飯0.5合を皿に広げておき、九条ネギを写真のように斜めに面をとるように切っておく
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⑥中華鍋を強火にかけ、空焼きし、たっぷりの油を鍋になじませる (これからずっと強火。テフロン加工などの高温に対応していない鍋はこれからずっと中火で。)
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⑦油をポットに戻し、油小さじ4を再びいれる

⑧油が温まりきる前に、油の溜まったところに溶き卵を手早くいれる  (今回も柔らかめの卵にします)
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⑨生のところがなくなるまでお玉などでかくように混ぜ、半熟になったらご飯を卵の上に投入し、お玉の背などでグイグイ押し付けるように絡ませる
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⑩ご飯粒の塊を軽く叩いたりして米粒1つ1つをバラバラにする

⑪ご飯全体が卵と絡みパラパラになったら、ご飯を全体に広げムラができないよう塩、コショウ、だしの素を振りかける
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⑫お玉などでかき混ぜたり、なるべく火から離さないようにあおったりしてムラをなくす

⑬鍋肌から醤油、ごま油、お酢を回しいれる

⑭お玉などを使って混ぜつつ、20秒くらい炒める。
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⑮皿に盛る
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⑯もも肉を取り出し、キッチンペーパーなどで塩、汁をふき取る
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⑰もも肉をなるべく繊維に沿って切り、写真のようにする (触感を保つため)
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⑱もも肉、九条ネギを炒飯に盛る

⑲完成!

3、感想(良いとこも悪いとこも)

・低温調理した鶏もも肉はまじしっとりしてた。触感も肉の繊維が残っている感じで噛みごたえがあった。うまい。
・もも肉は塩をまぶして2時間放置し、拭きとったがかなり塩味がした。塩の量を減らすか、肉を厚くするか、塩を漬ける時間を短くしてもいい。
・九条ネギを生で盛ったが、まあ予想通りの味だった。しゃきしゃき感と辛味(硫化アリルが飛んでないため)は強めだが、香りと甘みは弱めに感じる。一長一短という感じ。炒飯としては香りと甘みがあった方がいいかも。
・だし、お酢(黒酢)の気配は感じない。言われたら黒酢っぽいかもーくらい。
・なんやかんや美味い。ただ炒飯っぽさは薄く、丼ものを想定して食べたほうが納得がいく。大げさに言うと味付きご飯と主役の肉とネギ状態。
・1品で完結している気もする。ラーメンのような集約性がある。

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3、炒飯の進化に活かせそうなこと

・低温調理は素晴らしい。一見面倒ではあるが、慣れれば色々な料理で重宝すると思う。
・ネギは丼としては、生で盛ってもいいが、炒飯としては炒めた方がいいと思う。
・塩漬けは”ブライニング”という手法で、思いのほか塩味が強めについた。慎重にやらないとしょっぱくなってしまう。

丼もの炒飯は見た目はきれいですが、中々難しくもありますね。うまいバランスでないと主役が炒飯でなくなってしまいます。

次の記事はあえて盛った九条ネギと鶏もも肉をやっぱり混ぜて炒めます。結局。
内容は軽いので、ちらっと読んでみて下さい!最後まで読んでくださってありがとうございました!
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