以前にも試した「ネギ油」を使った炒飯に挑戦です。
様々な”本格”とつく炒飯のレシピでは、ネギ油を使って炒めると、より高級な、奥深い味わいになると書いてあります。
私が「すごいなぁ」と勝手に尊敬している方たちが、「青ネギをラードで弱火で加熱し、自家製ネギ油を…」 「中華料理の油にはネギの香りを移すひと手間が…」という調理法を紹介しており、ネギ油推しです。
ですが私は、ネギ油を使った炒飯と、ノーマルなサラダ油を使った炒飯との違いをほぼ感じません。炒めてる途中にほとんど香りが飛んでしまい、仕上がりのころには普通の油になっていると思うのですが、みんながそんなに言うなら自分に問題がある気がしてきます。
ということで、
作り方を変えたネギ油で作った炒飯は、やはりうまいのか。再チャレンジしてみます。
↑ぼけててすみません
目次
1、ネギ油は結局二硫化アリルを油に溶かした油?
2、ネギ油を前回とは違う方法でつくる
3、「玉ねぎ油炒飯」レシピ
4、食べた感想
5、これからの炒飯に活かせそうな発見
このレシピを参考にしようか迷う方はレシピと感想を読んでみて下さい!
1、ネギ油の使い方
関連記事:「香りをつけた炒め油は炒飯の出来上がりに影響をあたえるか?」
関連記事:「ザーサイ炒飯」-簡易的なネギ油で中華風味を加える-
で検証したのですが、香味油(青ネギ、生姜、にんにく)を使った炒飯が仕上がりにどのような影響を与えるか調べたところ、炒め油に使ってしまうとあまり変化はないと結論付けました。
さて、そもそもネギ油の”ネギ”たらしめる部分はなんなのでしょうか?
油にネギがそのまま入っているワケでもないのに、油がネギの香りをまとっているのは香り成分が油に溶けているからです。
更に言うとその香り成分というのがアリル化合物というものでして、玉ねぎの場合、二硫化アリルというアリル化合物です。ちなみににんにくの場合はジアリルジスルフィドというアリル化合物です。
この「アリル化合物」というのは油に溶ける性質があり、
ネギを切り油で加熱することでアリイン→アリシン→二硫化アリルと成分が変化し、この二硫化アリルが油に溶け込みます。
純粋な二硫化アリルの沸点は180度で、80%品だと138-139度だそうです。(80%品って純度が80%という理解でいいですよね…?)
つまり、鍋をガンガンに加熱してから純粋な二硫化アリルを注ぐと、鍋の表面温度は180度はこえているのでどんどん揮発してなくなってしまうことになります。
実際のネギ油に溶けている二硫化アリルが何度で揮発するのかはわかりませんが、調べた情報から想像するに、やはり高温で加熱する場合、ネギの香り(二硫化アリル)はどんどん飛んでしまいそうです。
こうしてみるとネギ油は炒めている途中でただの油に戻ってしまいそうですが、はたしてどうなのでしょうか?調べた内容では化学的に分からないことが多すぎる(私の知識不足)ので、とりあえず作ってみることにします。
(アリル化合物は揮発性、熱に弱いという性質をもっているらしいのですが、熱に弱い、というのはおおそらく化学反応で別の物質に変わりやすいという意味だと思います。二硫化アリルは別の何かに変化するのでしょうか?調べてもアリシンとジアリルジスルフィド間での反応は出てくるのですが、ネギの香りの主成分である二硫化アリルが加熱でどう反応するかがわかりませんでした。
また、ウィキペディアだとアリル化合物は水に溶けないとありますが、他のサイトだと玉ねぎを水にさらすと溶け出してしまうとあるのでそのへん詳しい方いましたら教えてください…!化学にうといもので…。ちゃんと勉強したいですね。
とりあえず今回は、液体の二硫化アリルは油に溶け、加熱すると揮発して油からでていってしまうといして扱いました。)
2、ネギ油を前回とは違う方法でつくる
以前私が作っていたベーシックなネギ油は、
①ネギの青い部分を鍋にいれる。
②油を注ぎ、弱火でじっくり加熱する
という手順でした。
ネットで検索すると色々な手法が出てきますが、結局これが一般的なのではないかと思います。
が、いままでと同じ手順では結果もまた同じになってしまいます。
「香り成分が揮発しているから、炒め油に使っても影響がない」と決めつけず、自分の作り方を疑ってみましょう。
そこで今回変えてみるポイントは、
・長ネギではなく玉ねぎをつかう
・玉ねぎ、油、加熱時間、火力をスケールアップ (玉ねぎ・油は量を増やし、火力をできるだけ弱め、加熱時間を延ばしじっくり(しなしなに、焦げはしないが茶色くなるまで)香りを移します)
・玉ねぎを細かめに切り、二硫化アリルを多くつくる
ということをやります。
はたして炒め油にネギ油を使っても、仕上がりに影響はあるのでしょうか?
3、レシピ
——-作り方——-
材料
ご飯:0.5合
卵:1個
醤油(濃い口):小さじ1/2
塩:1.3g
白コショウ:0.3g
キャノーラ油:200ml、小さじ4
玉ねぎ:1玉
手順
①玉ねぎを0.5cm~1.0cmくらいにスライスする (もっと薄く切った方が良かったかも?)
②鍋に玉ねぎをいれ、油200mlを注ぐ
③とろ火(消えない程度の最大の弱火)で30分くらい加熱する (玉ねぎの表面からシュワシュワ小さな気泡がでてくる。絶対焦がさない)
④玉ねぎが飴色になったら油をざるにあける
⑤鍋を空焼きする
⑥煙がたってきたら、作ったネギ油小さじ4をいれ鍋全体になじませる
⑦鍋の底の油の溜まった部分に溶いた卵をいれる
⑧卵が油を吸い、生のところが半熟になるように、お玉やしゃもじで卵を転がすイメージで手早く全体を半熟にする
⑨ご飯をその上に投入する
⑩卵にご飯をぐいぐい押し付けるようにご飯をほぐす (半熟の卵でご飯をコーティングするイメージ)
⑪ムラなくほぐれるまでほぐしながら炒める
⑫パラッとしてきたら、塩・白コショウを全体にふる (少し高めからふると均一になりやすいが、色々難しい。とにかくムラがないと良い)
⑬火から離さないよう意識しながら、混ぜたりあおったりして全体を加熱する
⑭炒飯に香りをまとわせるため、醤油小さじ1/2を鍋肌からシュワッと回しいれる
⑮手早く2・3回あおる
⑯皿に盛る
⑰完成!
↑気づいてしまったかたがいらっしゃるかもしれませんが、今回の炒飯は失敗しました。味に影響はないはずですが、べちゃついたご飯を使って作ったので仕上がりがぼそぼそです。なめてかかるとこういうことあるので気をつけます。
4、食べた感想(良いとこも悪いとこも)
・わずかに玉ねぎの風味は感じたが、超こだわる人向けの違いだと思う (炒め時間が短かったり、高温で調理しないならネギ油の効果は結構あると思いますが)
・玉ねぎで作ったネギ油は、長ネギに比べ甘くまろやかな香りだった (単純に二硫化アリルだけが香り成分ではないので、それが油に溶けたりしてるのか?)
・食べた感想ではないが、油小さじ4をいれた瞬間からかなり香りが立ち、炒め続けるにつれ香りがしなくなっていった
5、これからの炒飯に活かせそうな発見
・やはりネギ油は加熱を続けると香りが飛んでしまうので、仕上げに使うべき! (この感じでいくとにんにく油も同じ使い方がいい)
・ねぎ油は、弱火でじっくり、多めに作った方が香りが強い気がした
・玉ねぎで作った油は甘め、長ネギの青い部分は香ばしくきりっと、長ネギの白い部分は青い部分より少しまろやかな香りのネギ油を作れる
→やはりネギ油は仕上げに垂らし、香りを活かすべき。 (炒める際にしく油としてはあまり意味がない)
最後まで読んでいただきありがとうございます!今回はちょっと化学っぽい話がでてきましたが、これからどんどんそっち方面の知識を増やしていきたいと思います。間違ってるところなどありましたら教えてください!!
次の記事もまた油関係です。ぜひぜひ
関連記事:「香りをつけた炒め油は炒飯の出来上がりに影響をあたえるか?」
関連記事:「ザーサイ炒飯」-簡易的なネギ油で中華風味を加える-
スポンサーリンク
ツイッターやってます。ブログの更新報告などしゃべっています。↓
Follow @chahanofgear
インスタに作った炒飯を投稿しています。↓