こんにちは。炒飯の歯車です。
今回はお店で食べるような炒飯を、家庭で再現できるのか?ということについて考えていきます。
炒飯はご飯、卵、油、塩、といったシンプルな食材で料理されるにもかかわらず、プロが厨房で作る炒飯を素人が家庭で再現することは難しいと言われています。
その最も根本的な理由は、店と家庭とでは火力に10倍以上の差があるためです。
そこで今回は、高火力なカセットコンロで炒飯を作ってみることで、店の味に近い炒飯を作ることは出来るのか、また美味しい炒飯に本当に火力が必要なのか、考えていきます!
1.なぜ店の高火力の炒飯は美味しいと言われるのか
2.高火力なカセットコンロで炒飯を作ることとは
3.カセットコンロの危険性
4.高火力で炒飯を作ってみた感想
4-1.「調理面」の感想
4-2.「味・香り」の感想
4-3.「学んだコツ」
5. 結論
1.なぜ店の高火力の炒飯は美味しいと言われるのか
まず最初に、お店(中華料理屋やラーメン屋)で作る炒飯と家で作る炒飯の違いを考えてみましょう。
料理を作る際、「食材」「料理人の技量」「調理道具」の、大きく3つの要素が美味しさを左右すると思います。
では「食材」について、炒飯の材料は、ご飯、卵、油、塩・・・などであり、お店でも家でも大きな違いはなさそうです。
次に「料理人の技量」についてです。プロの料理人として美味しい炒飯を作れるようになるまでには数年間の修行が必要らしく、プロと素人では大きな差がありそうです。数年間鍋を振り続けることで体得できるタイミングや動きがあるのでしょう。
しかし、調理の技術について考えると話が膨大になり、また今回の記事の趣旨ではないので、「料理人の技量」部分には深入りしないことにします。
(当ブログでは、美味しい炒飯を作るためのコツについて、過去色々と書いておりますので、時間があれば読んでみて下さい!)
では最後に、「調理道具」についてです。
お店と家の一番の違いは火力だと思われます。お店と家とでは10倍以上火力(カロリー数)に差があり、お店では高火力で一気に調理することが出来ます。
(家にプロ用のコンロを導入すれば?と思うかもしれませんが、安全面やガスの設置等で中々めんどうらしいです。)
ただ、そもそもなぜ高火力で炒めた炒飯は美味しいと言われているのでしょう?
恐らく、”高温を維持し短時間で仕上げる”ことが一番のポイントであると思われます。
なぜ”高温を維持し短時間で仕上げる”ことがポイントかというと、2つ理由があります。
1つ目の理由は、
(お店は家の10倍の火力がある)
= (家の10倍の温度で調理している)
というわけではないからです。
「お店の炒飯がうまいのは火力が家庭より10倍大きいからだ。」と言われると、直感的に「お店では超高温で調理しているんだな・・・。」と思うかもしれません。
しかし火力が10倍で温度も10倍とすると、家で炒飯を作るときの加熱温度が100℃でお店は1000℃という非現実的な温度になってしまいます。
炒飯を作る際はたいてい油をしきますが、油の発煙点(油が一気に蒸発し始める温度)は大体200~300℃ですのです。youtubeでプロが炒飯を作る動画を見ると、油が発煙点に達しているように見えるのは炒め始める前の中華鍋に油をなじませる工程までです。
よって、200℃程度の調理であれば一般的な家庭でも揚げ物などで扱う温度なので、お店の炒飯が1000℃で調理されている、などということはないはずです。
2つ目の理由は、高温を維持し短時間で仕上げることが大切であると、プロ自身が発言しているからです。
「プロが教える家庭で美味しいチャーハンを作るコツ!」のようなレシピでは、
・鍋を火から離さない
・1~2人前で作る
・温かいご飯を使って作る
・炒める前にご飯と卵を混ぜておく
・具材にはあらかじめ火を通しておく
というようなコツをよく見かけます。
これらはつまり、
・鍋を火から離さない
→むやみにあおると鍋が火から離れ温度が下がる
・1~2人前で作る
→食材が多いほど温度が上がりにくい
・温かいご飯を使って作る
→冷たいご飯だと鍋の温度が下がる
・炒める前にご飯と卵を混ぜておく
→調理時間を短くする(お米をコーティングする目的もあります)
・具材にはあらかじめ火を通しておく
→調理時間を短くする
というように、高温を維持し短時間で仕上げるための工夫です。
「なぜ炒飯で鍋を激しくあおるのか?」私もよく分かっておらず、プロの解答を聞いてみたいです。
ただよく言われる(?)のは、鍋で加熱したご飯を宙に浮かせることで水分を飛ばし、またあおることでムラなく加熱することができるようです。
しかし家庭で同じように鍋を激しくあおると、ご飯を宙に浮かせると冷えてしまうことと、コンロから鍋を離すこととで鍋が冷えてますが、すぐに高温に戻せるほどの火力がありません。よって中途半端な温度で長時間炒める羽目になり、美味しい炒飯を作ることが難しくなるそうです。
「高温を維持して短時間で仕上げる」ことで、お店の味に近い炒飯を作れるのであれば、”1/4人前の炒飯”のように、極端に少量で炒めればお店の味に近づけるのではないでしょうか?近いうちに実験してみたいと思います。
2. 高火力なカセットコンロで炒飯を作る
さて、今までは高温で炒飯を作る意味について書いてきましたが、次は高温で炒飯を作る方法についてです。
今回は高火力のカセットコンロを使用することで、お店の火力に近い状況を作り出して炒飯を作りたいと思います。
カセットコンロの中には家庭用の据え置きコンロよりもカロリー数(火力)が高いものがあり、また家庭用の据え置きコンロにはほとんどついている安全装置(鍋の温度が180℃、210℃程度になると強制的に弱火になる装置)が、カセットコンロは付いていません。
そこでアマゾンで探した中で一番高火力だった、”イワタニ カセットフー BO(ボー) EX 【強火力コンロ / 最大発熱量4.1kW】”を購入し、炒飯を作ってみました。
3.カセットコンロの危険性
こうしてみると、「カセットコンロで極限まで鍋を加熱すれば、お店と同じ環境ができるのでは?」と思うかもしれません。
しかしここには大きな問題があります。
それは、カセットコンロは熱を持ちすぎると、”爆発”することです。
毎年カセットコンロの爆発の被害に遭っている方がいるそうです。
カセットコンロの燃料であるガスボンベは、高温になるとボンベ内の圧力が高まり、爆発してしまうそうです。
特にカセットコンロの上の大きめの鍋を置くと、鍋の熱がガスボンベに伝わり爆発しやすくなります。
よって、カセットコンロで高温を維持し炒飯を作る際は、
・大きな鍋で作らない
・長時間加熱し続けない
ことを意識し、ガスボンベに出来るだけ熱を伝えず、爆発させないようにしなければいけません。
4.高火力で炒飯を作ってみた感想
さて、それでは実際に調理してみましょう!
以下のような工夫をして調理してみました。
<食材>
1人前の分量で作る
少量 → 少量で作ることで、高温を維持しやすい
<調理器具>
小さめでぶ厚めの鍋
(山田工業所 鉄 打出片手中華鍋(板厚1.6mm) 27cm)
小さめ → 鍋全体が短時間で厚くなる
厚めの → 蓄熱量が大きく、食材をいれたり鍋をあおっても温度が下がりにくい
ご飯:160g
卵:1個
塩:1.4g
コショウ:0.2g
醤油:小さじ1/2
酒:小さじ1
油:大さじ1(+油ならし用)
長ネギ:白い部分5cm(小口切り)
手順
①調味料を分量通り計り、卵は軽く溶き、ネギは小口切りにしてそれぞれ手元に置いておく
②鍋を強火にかけ、うっすら煙が出てくるまで加熱する
③油をたっぷり注ぎ、鍋全体に油をなじませる
④油をポットなどに移し、鍋に油大さじ1を入れる
⑤5~10秒程度たったら、溶いておいた卵を油の溜まっている部分に注ぐ
⑥焦げないように手早くかき混ぜ、全体が半熟程度になったらご飯を入れる
⑦ご飯をお玉で鍋に押し付け、鍋をあおり鍋の上にご飯、その上に卵となるようにひっくり返す
⑧半熟の卵がご飯にまんべんなく絡むよう、お玉の背で卵をご飯に押し広げていく
⑨焼きムラができないように手早く混ぜ続ける
⑩卵の生っぽさがなくなったら、塩・コショウをムラなく振りかける
⑪軽く混ぜ合わせ、鍋はだから酒を回し入れる
⑫仕上げに鍋の中央にスペースを空け、そこに醤油を垂らし、シュワシュワと蒸発し始めたら炒飯と混ぜ合わせ、数回鍋をあおる
⑬皿に盛り付け、完成!!
4-1.「調理面」の感想
・パラパラにするのが難しかった
意外とパラパラに仕上げるのが難しかったです。すぐに焼けてしまい面で固まってしまうので(大げさに言うとせんべい)、ひっきりなしに混ぜ続けなければいけませんでした。
・煙めちゃくちゃでた
やばかったので玄関と窓全開にしました・・・。
作る際は火災報知機とか気をつけた方がいいと思います。
・高火力に焦る
少しビビるくらい高火力だったため、爆発とか考えると怖かったです。
・持ち手暑い
持ち手に濡れ布巾など巻き付けないと、熱くて持てませんでした
・五徳部分が鍋をうまく支えられず、ガタガタする
(五徳:鍋を支える部分のことです)
・食材がすぐに焦げてしまった
一部が加熱され過ぎないようまんべんなく混ぜる技術が必要です。
あらかじめ食材を計量して用意するだけでなく、すぐに鍋に入れられるように、手元に並べておかなければ作業効率が下がりすぐに焦げてしました。
プロが炒飯を作る動画を見ると、中華鍋を穴の開いたドーム?のような場所に置き、鍋を前後に滑らせながら炒飯をあおっています。
しかしカセットコンロのような五徳では、鍋を滑らせにくいです。そこで、中華鍋を安定させておくことが出来る円筒状の五徳を購入し、炒飯を作ってみました。
(カンダ ステンレス 中華五徳 φ170mm 001163)
するとが鍋の安定性は増したのですが、鍋が火から遠くなり火力が大幅に落ちてしまいました。
鍋を安定させつつ、火力を落とさない調理法について、何かいい方法が分かり次第記事を書きたいと思います。
4-2.「味・香り」の感想
・熱々の炒飯が美味しい
普段作る炒飯よりも「熱っ」って感じでした。
・かつてない香ばしさ
焦げっぽい香りも強かったですが、香ばしさがすごかったです。
・味が違う
普段作る炒飯とは違う味わいでした。どう違うのかと言われると説明できないのですが、「高火力で炒めてる感」というか、焦げと香ばしいの間の感じの味でした。
4-3.「学んだコツ」
・調理時間は1分程度でok
家庭のコンロで炒飯を作る際は、2~4分程度は炒めていたのですが、このカセットコンロでは1分も炒めれば十分だと思います。ただ1分以内に塩振ったりご飯ほぐしたりするのは相当な手際の良さが必要で、結構難しいです。
・お玉は鍋の上に置かない
調理最中、醤油を鍋にいれる際などに鍋の持ち手から手を話してしまうと、中華鍋の持ち手の重さとお玉の重さで鍋がぐらぐらしてしまい危険です。そのため、鍋から手を話す際はお玉を鍋の上に置かない方がいいと思います。
・炒飯作りの動画を見るべき
火力が今までとかなり違ったため、油を加熱しすぎて煙がすごかったり、油に卵を入れたてすぐに焦げてしまったりしました。
そういった今までとは違うタイミング、感覚のイメージをつけるため、youtubeなどにあるプロが炒飯を作る動画を見てみると、調理の流れがつかめると思います。
5.結論
・高火力のカセットコンロで炒めると、確かに今までにはない味、香りになったが、調理の難易度があがりうまく作れなかった
(逆に炒飯を難しさを少し理解できた気がしました。このカセットコンロの数倍の火力で調理しているプロの料理人は、本当にすごいんだな・・・と実感しました。)
・カセットコンロでは中華鍋がガタついてしまい、鍋から火を放さずにあおるのが大変
(カセットコンロではお店の様に鍋をスムーズに振ることは難しいようです。)
以上、が結論です!
高火力で炒めることは技術的に難しく、まだ一度も「うまく調理出来た!」と思えたことはないです・・・。
しかし、やっと炒飯作りの難しいことを理解でき、スタートライン?に立てた気がしました。これから練習を重ねていきたいと思います。
拙い長文を最後まで読んでくださりありがとうございました!!
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【お店の炒飯を目指した記事:リンク】
本格 お店チャーハン しっかり系
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中華鍋を使うようになってからも腑に落ちるような炒飯が作れず、ラードを使ってみたり、ネギを先に炒めてみたり、試行錯誤しておりました。
こちらでは、炒飯をテーマに絞って色々な要素を比較研究して頂いており、大変参考になります。
香ばしさの件についてですが、街の中華料理で食べる炒飯ではたまに炭のような香ばしさを感じる事があり、これが炭を使う焼肉が美味しく感じるように、炒飯を美味しく感じさせる要素として大きいのかなと思っておりました。家では出来ないものと諦めておりましたが、高火力コンロを導入して挑戦したいと思います。
(麻婆豆腐も要素が多く再現性の難しい料理だなと感じております。こちらもいつか、研究して頂ければ嬉しいです。)
コメントありがとうございます!
炭のような香りというと、焦げが美味しかったりするのと近い話なのかもしれませんね。。
高火力のカセットコンロはとても高温で調理できる反面、安全装置(Siセンサー)がついてないことと、ガスボンベが温まり過ぎると危険なこととがあるため、私は非常にビビりながら炒飯を作ってます…!
どうかお気をつけて。
(私も麻婆豆腐大好きです。中華料理で2番目(炒飯の次)に好きです)