科学的な炒飯を作る|プロローグ編

私がこのブログに炒飯のレシピを投稿し始めてもう1年半以上もたちますが、より美味しい炒飯を作るためには、やはり科学の力が必要だと感じます
そこで、徹底的に科学的根拠のある炒飯レシピを作ってみようと思います。

具体的には、美味しさが増す化学反応と、不味さが増す化学反応が最もベストな割合となるレシピです。(焦げないで香ばしいくするため、2分以上3分間以下だけ炒める・・・など)

調理学について学び、またキッチンで実験を繰り替えしながら、科学的な炒飯レシピを考えていきます!!(本記事はプロローグみたいな内容です。)

目次
1.美味しい炒飯を定義する
2.炒飯の食材を考える
3.炒飯作りで起こる化学反応は?
4.現時点で考えつく最も美味しい炒飯!!
5.炒飯を作っていて謎なこと
6.理想的な炒飯のレシピを求めて

1.美味しい炒飯を定義する

”美味しい”を定義することは難しいです。

”美味しい”とは人それぞれの感性によって決まります。
よって、誰にとっても美味しいと定義することは難しすぎます。なので誰にとってもは諦め、とりあえず私が思う”美味しい”炒飯を定義してみます。(いきなり科学とは離れましたが・・・)

<美味しい炒飯の定義>
①ご飯の美味しさを最大限発揮(ただし米粒がパラパラでくっついてない)
②卵ができるだけ乳化(油と水が混ざり合うこと)している
③油の酸化が最小限
④できるだけ香ばしい
の4つを定義とします。この4つの定義は、優先順位を①~④の順にします。

(②の定義は「卵の美味しさをできるだけ活かす」とするか、大変迷いました。もしこの定義だと、卵をふわっとしっとりとさせることになります。これではスクランブルエッグのようで、炒飯としての美味しさとは少し違うのかなと思い、「できるだけ乳化している」と定義しました。ちなみに、卵の美味しさを活かす場合は、水島シェフの考案したレシピがかなり完成形だと思います。)

これら定義をもとに、科学的な炒飯について考えていきます。

さて、どのようにレシピ考えていくのか、まずは文献をあさります。ご飯に最適なの水分量や卵の乳化に最適な条件など、ネットや本で調べていきます。

ですが、知りたい情報が書いてある文献が必ず見つかるわけではありません。文献に頼れない場合には、多少正確さには欠けるものの、私が台所で実験することで疑問をを解消していきます。

つまり、
文献を探す

実験してみる

定義に基づいたレシピの完成!

という流れで疑問を解消していきます。



2.炒飯の食材を考える

炒飯レシピに使用する食材は、醤油の5つにします。

理由としては、米、油、卵、塩はたいていどんな炒飯を作るにも必要ですし、醤油は香りづけ用に使うレシピをかなり多く見かけます。
よって最低限必要食材の米・油・卵・塩と、香りづけとして最もポピュラー(?)な醤油の5つを使用していきましょう。

また、野菜や肉などの具を使ったレシピの方が、美味しくてアレンジもしやすそうではあります。しかしレシピが複雑になると、その分”原因と結果”の対応が分かりにくいため(科学的に分かりにくい)シンプルに具なし炒飯を考えていきましょう

3.炒飯作りで起こる化学反応は?

炒飯における重要と思われる化学反応は、α化乳化酸化脱水メイラード反応気化の6つです。
これらについての理想の条件について考えてみましょう。

α化→米内部:できるだけα化している方がいい。米表面:できるだけα化していない方がいい。つまりパラパラ。

乳化→なるべく乳化してる方がいい。

酸化→なるべく酸化してない方がいい。

脱水→なるべく脱水してない方がいい。

メイラード反応→なるべくメイラード反応してる方がいい。

気化→香ばしさと生臭さの割合がベスト。香り成分の気化の量が丁度いい。

4.現時点で考えつく最も美味しい炒飯!!

次の記事からは科学的な炒飯のレシピを考えていくわけですが、その前に私が現時点で思う最も美味しい炒飯作り方を書いてみます。

—–食材—–
ご飯:160g(約0.5合)
油:小さじ4
卵:Sサイズ1個
塩:1.3g
醤油:小さじ1/2

—–作り方—–
①下準備として、ご飯を炊き0.5合分を皿に広げておく。
 <理由> →皿に広げておくことで、米粒表面の粘りが抑えられパラパラ炒飯になりやすいです。
塩1.3gを計量しておく。
 <理由> →1.3~1.4gがちょうど美味しいと思います(経験的に)。
卵1個をはしで軽く溶いておく。
 <理由> →火が通った卵がぱさぱさにならず、また少し卵黄と卵白の味の違いを楽しめるため、軽く溶いておきます。

②鍋を強火で空焼きし、油小さじ4を鍋に馴染ませ、油をよく温める
 <理由> →卵液をいれるとジュッ!というくらいに加熱します。鉄鍋を想定しています。表面が加工されている鍋では、劣化が進んでしまうので、強めの中火くらいにしとくと良いと思います。

③油の溜まったところに溶き卵を一気に流し込む
 <理由> →卵をぶくぶくと揚げるように加熱すると美味しくできます。高温の油に卵を注ぐことで乳化が起きやすくなり、油を良く吸うらしいです。

④お玉で卵全体が半熟になるようにかき混ぜる
 <理由> →油を生の部分に油を吸わせるように、固まってしまう部分がなく全体が半熟になるように混ぜます。

⑤半熟卵の上にご飯を投入し、お玉で押し付けて広げる
 <理由> →半熟卵で米粒表面をコーティングすることで、米粒表面の水分と鍋にひいておいた油が、卵を乳化剤としてが乳化し、パラパラになるらしいです。

⑥素早く飯を卵に押し付けるように絡ませ、米粒1つ1つが卵で薄くコーティングさせるイメージで混ぜていく
 <理由> →卵が半熟の状態でないと米粒をコーティングできないため、素早く卵と米を絡めていきます。

⑦ご飯がパラパラにほぐらたら、鍋底に炒飯を広げ、塩1.3gを全体にムラが出来ないように振りかける
 <理由> →長時間炒めていると米から水分が染み出て、水分と熱により米が糊状になってしまい、団子のようになってしまいます。そのため鍋全体を使い、炒飯をむらなく効率よく加熱することで、短時間で炒め終わるようにします。

⑧火から鍋をなるべく離さないようにしてよく混ぜる
 <理由> →火から離すと鍋の温度が下がってしまいます。中華料理店などでは鍋を何度も振り炒飯を宙に浮かせていますが、あれはお店ならではの火力があってこそらしいです。そのため家庭で炒飯を作る際は、なるべく鍋を火から離さず、家庭の小火力でも鍋の温度をできるだけ高温に保ちながら調理します。

⑨計2分ほど炒めたら、鍋肌に醤油を垂らす
 <理由> →2分ほど炒めることで卵の生臭さが消えると、dancyu という雑誌の2013年05月号に書かれていました。
また醤油を鍋肌に垂らす理由は、「炒飯において醤油はどこに注ぐのがベストか?」にて書いたのですが、メイラード反応をできるだけ起こすためと、水分をなるべくご飯にかけないために、高温の鍋肌に直接醤油を垂らす、としました。

⑩火を止め皿に盛り、完成!

5.炒飯の作り方の疑問

炒飯を作る際の疑問について書き出してみます。

<米の状態>
・炒めた後を一番おいしくするには?(炊きあがりでなく)
・塩を振るタイミングは?
・ご飯には水、油をかけておくべき?(ロジカルクッキング参照)

<乳化>
・卵とご飯は少し混ぜておくべき?
・卵は溶いておくべき?
・乳化の最適条件は?

<香り>
・鍋の温度は高温なほどいい?
・卵の生臭さはどれくらい加熱すれば消える?
・メイラード反応の最適条件とは?
・油の酸化は味・香りにどれくらい影響する?

6.理想的な炒飯のレシピを求めて

さて、長々と書いてきましたが、要は私は根拠を持って美味しいと言える炒飯を作りたいのです。
(先ほど、”4.現時点で考えつく最も美味しい炒飯”ご紹介したレシピにもそれなりに根拠を持っているつもりですが、更に深めていきます。)

そのため、先ほどの”5.炒飯の作り方の疑問”で列挙した疑問それぞれを解決していきます。今回の記事はプロローグ的な内容でしたが、次の記事からはちゃんと科学的な、調理学的な炒飯の作り方について書いていきたいと思います。

読んでいく中で、「これは間違っているぞ」とか、「これは科学的でないのでは?」と思うこともあるかもしれません。その際はコメント頂きたいです。よろしくお願いします。

それでは次の記事では、科学的な”美味しい”炒飯のレシピを確立するため、「お米」について掘り下げていきます!
最後まで読んで頂きありがとうございました!!次の記事も是非!

——————————
【パラパラ炒飯関係の記事:「炒飯をパラパラにする7つの技」炒飯講座

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4 thoughts on “科学的な炒飯を作る|プロローグ編”

  1. こんにちは。
    いつもとても深い視点でチャーハンを研究してらってしゃって見てて一調理師として嬉しい気分になります。

    「美味しい」この定義はとても難しく奥深い事ですよね。この記事を見ていて同じく「美味しい」を追い求める人として1つ思ったことがあるので1つ言わせていただくと
    美味しいと感じるのは舌や口の感覚もそうなんですが脳である。って事です。

    何が言いたいかというと料理の味や食感、香り以外の要素も味に影響すると言う事です。

    例えば誰と食べるか。仲のイイ人と食べれば美味しく感じる。(鍋が良い例)
    綺麗な見た目盛り付けは「美味しそう!」という先入観で味をさらに美味しく感じさせる。(味はそうでもない綺麗なパンケーキ等w洋食で言う乾燥パセリやうどんのネギ、無駄に大きいお皿等)

    とても科学的ではない!って思いそうにもなる、この要素ですがこれもまた科学的に「美味しい」を作る大切な要素かな、と私は思います。人間の五感、さらには六感にさえ訴える。そんな料理や環境が最高の料理を作りあげるのかなと笑

    最高、最強のチャーハン求めて頑張って下さい(^^)

    1. コメントありがとうございます。とても嬉しいです!
      なんと調理師の方でしたか・・・知識量の多さに納得がいきました。

      「美味しい」とは味覚と嗅覚だけでなく、脳が感じることを総合して「美味しい」であるとのコメントありがとうございます。確かに科学的に美味しいを極めるには考えるべきことですね・・・。食材のことしか考えていなかったので、新鮮でおもしろいなと思いました。

      誰と食べるかや空腹時に食べてもらうことはコントロールしにくいですが、盛り付けやお皿の形などは調理する側が「美味しそう」を演出できそうです。美的センスに自信はありませんが、ゆくゆくは「美味しそう」と思わせることにもこだわってみたいです!

      最高、最強のチャーハンを求めて頑張ります!
      現在は悪戦苦闘しながらお米に関する論文を読んでます。次の記事も是非読んで頂けると嬉しいです!

  2. すでに乳化しているマヨネーズでご飯をかき混ぜてから炒めるとヤバウマです

    1. コメントありがとうございます!
      マヨネーズを入れると乳化作用でパラパラ&旨みもアップして、めちゃめちゃ美味しいですよね!

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