「麻婆餡かけ炒飯」本格麻婆を炒飯にぶっかける

今回ご紹介するレシピは結構自信があります。正確に言うと、今回ご紹介する麻婆の作り方に自信があります。

ちょっと凝った本格的な麻婆で、鶏ガラからちゃんと鶏がらスープをとったり、豆鼓花椒紹興酒といったあまり馴染みのない食材を使います。ですが、鶏ガラスープはスーパーの肉コーナーの冷凍のスペースにあるのを解凍し茹でるだけですし、豆鼓、花椒、紹興酒は、少し大きなスーパーやエスニック系の調味料が売っているお店に行けば簡単に手に入ります。作ってみると意外と簡単に作れますよ。

私は麻婆豆腐や麻婆茄子が好きで、色々なレシピを作ってみました。結果それなりに美味しく作れるようになり、その麻婆は辛さとしょっぱさで一緒に食べる炒飯が甘く感じるほどパンチがあります。どんどんスプーンが進みますよ!

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目次

 

1. 麻婆を作るコツ

私が思う麻婆を作るコツについてご紹介します。
(ちなみに、できた麻婆に豆腐をいれ4,5分煮詰めると麻婆豆腐になります。炒飯にように少し塩気を減らしたレシピですが、そのまま作っても気にならないと思います。もし塩気が足りないと感じた場合は、醤油を少し増やすか、塩を振り調節されると良いと思います。)

仕上がりに大きく影響するコツとして、
⑴しっかり挽肉を炒め、メイラード反応を起こさせる
⑵醤油をしっかり炒める
⑶豆板醤を油で炒める
⑷鶏ガラスープと油を熱々の状態で一気に混ぜる

の4つがあります。

それではご説明していきましょう。

⑴しっかり挽肉を炒め、メイラード反応を起こさせる
これは、以前「挽肉炒飯」カリカリに炒めた挽肉を炒飯に!で触れましたが、挽肉を熱々の油(155℃くらいがベスト)であまり混ぜずに炒め、茶色っぽい焼き目を付けるとメイラード反応が起き、美味しくなるというものです。
メイラード反応とは、挽肉の糖とアミノ酸が加熱されることで褐色反応が起き(茶色く色づき)、香ばしい風味が生まれます。
そもそもひき肉を炒める際は、油が透明になるまで、挽肉がパチパチと音をたてて弾け始めるまで、などの目安が書かれているレシピは良くあります。しかし、これらはアクの問題や火が十分通ったかの目安であり、メイラード反応を意識した場合には、ただしっかりと油で炒めるだけが目安ではありません。
メイラード反応には、「炒めている最中はあまりかき混ぜない」ことが大切です。そうすることで反応が起こりやすくなるそうで、頻繁にかき混ぜず、鍋に触れている部分が茶色く色づいたら混ぜ、色づいたら混ぜ、と数回繰り返し、全体を茶色(褐色反応)にしていきます。すると挽肉全体がメイラード反応を起こしたことになるので、香りが良くなっているはずです。

⑵醤油をしっかり炒める
これは、醤油の香ばしさを出すためです。醤油を焦げるぎりぎりまで蒸発させることで、かなり香ばしい香りがします。これが香りの軸のようになり、仕上がりに影響してきます。

⑶豆板醤を油で炒める
これは、豆板醤の辛味を油に移すためです。
よく辛味を引き出す、と言われますが、これは豆板醤の辛味を油に移すことで(カプサイシンという辛み成分は脂溶性なため、これを油に溶かすという意味です)辛味を感じやすくします

⑷鶏ガラスープと油を熱々の状態で一気に混ぜる
これは、乳化を目的としています。乳化とは、油と水を混ぜ合わせ分離させないということですが(マヨネーズ、豚骨ラーメンなどは油と水が混ざり合った例です。)、鶏ガラスープ(”水”)と挽肉を炒め豆板醤を炒めた”油”を乳化させます。

以前少し書いたことがありますが、乳化には温度が高い方がいいそうです。ただ高ければいいという訳ではなく、マヨネーズなんかは温度を上げると分離してしまうのですが、ペペロンチーノのソースや豚骨ラーメンを乳化させるときには温度を上げることにより、乳化を促進させます。(おそらく、温度を上げることで油、水の粒子が小さくなり、油、水に溶けやすい状態になるのだと思います。)
乳化を安定させるには乳化剤となるものが必要ですが(炒飯、マヨネーズの乳化剤は卵黄のレシチン、ペペロンチーノのソースの乳化剤はゆで汁のサポニン(と言われている)です。)、今回の場合ですと、鶏ガラスープのゼラチンが乳化剤となります。

ですので、鶏ガラをわざわざ取るのが面倒でも、乳化のことを考えると鶏ガラスープの素やウェイパーを使うのではなく、ゼラチンを含む鶏ガラスープを使う方が乳化がうまくいきます。
(ちなみに、鶏ガラスープの素を使って麻婆豆腐を作ったことが多々あるのですが、なぜか乳化されているように見えます。挽肉のゼラチンが乳化剤に?などと考えていますが、結果乳化されるので、面倒であれば鶏ガラスープの素なりウェイパーなりを使ってもいいと思います。)

そもそもなんで乳化させる必要があるの?と思われるかもしれません。理由は単純で、舌触りが良くなります。(化粧品などだと別のメリットもありますが。)
え、それだけ?って感じですが、それが大切で、例えば豚骨スープが油と水で分離しているととても飲めたものではありません。またマヨネーズも、油が分離していてはマヨラーは生まれなかったでしょう。

分離している油を飲むのは厳しいものです。逆に、乳化されていると美味しく感じ、牛乳がまさにそうです。牛乳の水と油が分離してしまう(一般に牛乳は熱では分離しませんが、酸により分離するそうです)と美味しく飲む人はいないでしょう。
ということで、乳化はいいもので、そのために熱々の鶏ガラスープと油を一気に混ぜるのです。



2. 「麻婆餡かけ炒飯」レシピ

それではレシピです。

麻婆の材料

ご飯:0.5合
卵:1個
塩:0.8g
白コショウ:0.2g
キャノーラ油:小さじ4
ごま油:小さじ1/2

麻婆の材料

挽肉:80gくらい (豚挽き、合い挽き、牛挽きそれぞれの良さがあり、どれでも美味しいです。)
キャノーラ油:大さじ2
醤油:小さじ2、小さじ1
紹興酒:大さじ1
豆板醤:小さじ1
 (この量だとあまり辛くないです。得意な方は大さじ1くらいはいれても問題ないと思います。)
豆鼓:小さじ1くらい
花椒:小さじ1/2くらい 
(舌しびれる山椒です。お好みでいれて下さい。)
鶏ガラスープ:140ml (こちら「ラーメン炒飯」鶏ガラからちゃんとスープを作るにて鶏ガラスープの取り方をご紹介してます。面倒であれば鶏ガラスープの素など使って下さい。)
片栗粉:大さじ1
水:小さじ4
長ネギ:10cmくらい

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—-炒飯の調理手順—-
①塩:0.8g、白コショウ:0.2gを計量しておき、卵:1個を溶き、ご飯:0.5合を皿に広げておき、ごま油:小さじ1/2を準備しておく
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②強火で鍋を空焼きし(中華鍋の場合。普通の鍋であれば空焼きの必要はないです)、煙が軽くでてきたら油をたっぷり注ぎ、馴染んでら戻す
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③油:小さじ4を注ぎ、しっかり加熱してから溶き卵を油の溜まったところに注ぐ
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④お玉でかくように混ぜ卵全体を半熟にし、手早くご飯を投入する
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⑤お玉の背で卵にご飯を押し付けるようにし、ご飯と卵を絡ませる
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⑥ご飯粒の塊がなくなるように、お玉の背でポンポンと叩き、塊をほぐしていく

⑦ご飯全体がほぐれ、卵と絡み、かつ卵が固まったら、塩0.8g、白コショウ:0.2gを均一に振りかける

⑧火から離さないようによく全体を混ぜたら、ごま油:小さじ1/2を鍋肌から回しいれる
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⑨20秒くらい炒めたら火を止め皿に盛る

⑩炒飯が完成!!
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次に麻婆の作り方です。
—-麻婆の調理手順—-
まずは下準備です
①鶏ガラスープ:140ml (こちら「ラーメン炒飯」鶏ガラからちゃんとスープを作るにて鶏ガラスープの取り方をご紹介してます。面倒であれば鶏ガラスープの素など使って下さい。)を作っておき、別鍋で温めておく
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②写真のように長ネギを縦に半分、それを1cm感覚で輪切りにする

③豆鼓:小さじ1は軽く洗い水をふきとり、写真のようにみじん切りにしておく
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④花椒:小さじ1/2をすり鉢で擦っておくか、何かでつぶしておく(瓶の底、袋に入れてハンマーでたたく、などなど)
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では実際に鍋で炒めていきましょう!

⑤鍋を強火で空焼きし(中華鍋でない場合はこの工程は必要ないです。)少し煙が立って来たらたっぷりの油を馴染ませて捨てる(ポットに戻す)
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⑥油:大さじ2を鍋にいれ中火にする
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⑦挽肉を入れ軽くほぐし、鍋に触れている部分が茶色く色づくまで放置する
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⑧茶色くなったら少し混ぜ、全体を茶色くしていく(なるべく動かさない)
⑨全体が茶色く色づいたら、みじん切りした豆鼓、豆板醤:小さじ1、醤油:小さじ2を入れ油で炒める
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⑩醤油が焦げそう!?というくらいになったら(蒸発する水分が少なくなり焦げそうなくらい)別鍋で温めておいた鶏ガラスープを一気に挽肉の鍋の方に注ぐ
注意!→めちゃくちゃ油がはねるので、ふたがあると便利です。サイズが合わなくても、とりあえず自分への直撃を防ぎましょう。

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⑪弱火にし、紹興酒:大さじ1、醤油:小さじ1を加える
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⑫切っておいた長ネギを上に散らす
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⑬水:小さじ4、片栗粉:大さじ1をよく混ぜ、3回程度に分けて全体に垂らし、かき混ぜるを繰り返す
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⑬強火にし、30秒程度加熱する
(これは片栗粉によるとろみを安定させる目的だけでなく、油を表面に浮き上がらせることで冷めにくくしたりする意味もあるようです。)
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⑭炒飯にかける

⑮つぶした花椒をかける
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⑯完成!!!
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3. 感想

・挽肉のカリカリがうまし
・麻婆の強烈さと炒飯の対比がちょうどよく、どんどん食べすすめる
・豆鼓のしょっぱさ、紹興酒の独特な香りが本格っぽい
・花椒の痺れがいい。始めは抵抗があるが、慣れると癖になる
・しっかりととろみをつけたので、炒飯に麻婆の汁気がしみ込まずパラパラ炒飯が保たれる
・少しネギの存在感が薄かった。量、切り方、野菜の種類を別にしてもよかった

4.何が言いたかったか

最初に書きました、
⑴しっかり挽肉を炒め、メイラード反応を起こさせる
→ 香ばしくなる
⑵醤油をしっかり炒める
→ 香ばしくなる
⑶豆板醤を油で炒める
→ 辛味を油に移し、辛味が感じやすくなる
⑷鶏ガラスープと油を熱々の状態で一気に混ぜる
→ 油と水を乳化させ、舌触りをよくしくどさをなくす
です。

なかなか美味しい「麻婆餡かけ炒飯」となったじゃないでしょうか。お店では日本人向けに作られている麻婆豆腐が多いようで、今回ご紹介した麻婆には抵抗があるかもしれません。が、食べ続けるとやみつきになるのではないでしょうか!?

最後まで読んでくださりありがとうございました!
挽肉関連:「「挽肉炒飯」カリカリに炒めた挽肉を炒飯に!

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