私は以前
「挽肉炒飯」カリカリに炒めた挽肉を炒飯に!
にて挽き肉炒飯のレシピをご紹介したのですが、このレシピでは挽き肉を炒めた油を捨てていました。
しかしコメントにて、”挽き肉を炒めた油には旨味が染み出しており、その油で炒めた炒飯は美味しい”と教えて頂きました。また個別に頂いたアドバイスでは、”挽き肉を炒める際に塩を加えてやることで、挽き肉の素材の味を引き出し、また浸透圧によって旨味がさらに油に染み出す”と教えて頂きました。(実際に頂いた文章のコピペではありません)
「なるほど油に旨味が染み出すのは確かだな・・・」と思い、さっそく検証してみました。
理論的には旨味が染み出し美味しくなるにしても、感じないほどわずかな違いであれば意味がありません。
そこで挽き肉を炒めた後の油について、実際に炒飯を美味しくする影響力があるのか調べてみます。
果たして、挽き肉を炒めた油で炒飯を炒めるればより美味しさはアップするのでしょうか?
目次
1. 検証の仕方
これから「挽き肉を炒めた後の油で炒飯を作ると美味しくなるのか?」という疑問を解消してみるわけですが、どのように調べれば、”炒飯が美味しくなった”ということが出来るでしょう。
今回設ける判断基準としては、
挽き肉から何かしらの成分がどれだけ炒め油に染み出しており、その油を直接舐めたとき、炒飯の炒め油にしたときににどれだけ味の違いを感じられるか
としてみます。
具体的には4つの検証をしていきます。
⑴挽き肉から油へどれだけ何かしらの成分が染み出しているか、炒める前と後で重さを計る
挽き肉は、水分やら旨味、脂など様々な成分から構成されていますが、炒めることでそれらの成分がどれだけ水分が蒸発し、旨味や脂が染み出したのか電子ばかりで計量します。
⑵挽き肉を炒めた油で炒飯を作り、味の影響を調べる
挽き肉を炒めた油で炒飯を作ることで、ただの油で炒飯を作った時と味の違いがるのか調べます。
また以前に、炒めた油は捨て挽き肉だけを使用した炒飯を作ったことがあるのですが、その炒飯との味の違いも調べます。つまり挽き肉炒飯を作る際の調理工程により味が変わるのかを検証します。
⑶挽き肉を炒めた油で炒飯を作り、具として挽き肉を入れ、油の味が挽き肉にかき消されないか影響力を調べる
②で挽き肉を炒めた油が炒飯の味を影響を調べますが、もし味に影響があったとして、その影響力がどれほどのものなのかを調べます。油に少し挽き肉風味が移った程度の仕上がりへの影響力であれば、挽き肉を具として加えてみた場合、挽き肉そのものの影響力が大きすぎて風味のある油・ない油のどちらを使用しようと仕上がりの味に違いを感じない様に思います。そのため、具として挽き肉を加えてみることで挽き肉を炒めた油の影響力を検証します。
⑷挽き肉を炒めた油と、塩を振った挽き肉を炒めた油の味に違いがあるのか調べる
挽き肉に塩を振っておくと浸透圧により挽き肉が脱水され、旨味成分もより染み出すと考えられますが、その塩の脱水により油の味にどれくらい影響があるのか、塩を振らない場合の挽き肉を炒めた油と比較します。
・肉からどれだけ染み出しているか。(水分、油などの他の成分)
・塩入れたらどう変化
・肉を入れても味の違いを感じるか
・外見、冷えた後の性質
2.検証過程「挽き肉炒飯」
それでは実際に検証していきましょう。
⑴挽き肉から油へどれだけ何かしらの成分が染み出しているか、炒める前と後で重さを計る
—-検証手順—-
①鍋に油25gを注ぎ、挽き肉100gを広げる
②ガスコンロにつけた印につまみ合わせ、一定の火力で挽き肉を5分間炒める
③油に浸かっていない部分が生なので、塊をひっくり返すように混ぜる
④火を止め、秤に乗せた鍋に挽き肉と炒めた油をあけ、重さを計る
⑤挽き肉とざるを取り上げ、残った重さと④の重さを比べる
結果
(生の挽き肉+キャノーラ油)= 125g
(炒めた挽き肉+炒めた油)= 99g
(炒めた挽き肉+炒めた油)ー(ざる+挽き肉)= ー80g
ざるの重さ= 112g
よって、
炒めた挽き肉= 67g
となり、生の挽き肉から水分が蒸発したり旨味が油へ染み出した結果、33g減ったことになります。
また、
炒めた油= 32g
となり、7g分の旨味成分や脂、乳化した水分、ざるを通り抜けた小さな挽き肉が増えたころになります。
↓油が白濁しています。何かしらの成分が挽き肉から油に染み出した証拠ですね。(挽き肉のゼラチンと水で乳化されてる?それともラード?それともアク?何によって白濁の原因は分かりませんでした)
誤差が起きてそうな要因
- ・ざるに残った油
- ・炒めている際に飛び散った油など
- ・鍋に残った油(2g)
⑵挽き肉を炒めた油で炒飯を作り、味の影響を調べる
—-検証手順—-
①ご飯を炊き、0.5合分を皿に広げておく。
塩1.3gを計量しておく。
卵1個を軽く溶いておく。
⑴の油32gを鍋に敷いておく。
②鍋を強めの中火にかけ、油を良く温める(卵液をいれるとジュッ!というくらい)
写真でも気泡が発生しているのが分かりますが、温めている油から挽き肉の旨そうな香りが漂ってきました
③油の溜まったところに溶き卵を一気に流し込む(卵をぶくぶくと揚げるように加熱すると美味しくできます)
④お玉で、全体が半熟になるようにかき混ぜる(油を生の部分に油を吸わせるように、固まってしまう部分がなく全体が半熟になるように。)
⑤半熟卵の上にご飯を投入し、お玉で押し付けて広げる
⑥ご飯を卵に押し付けるように絡ませ、米粒1つ1つが卵で薄くコーティングさせるイメージで混ぜていく
⑦ご飯がパラパラにほぐらたら、鍋底に炒飯を広げ、塩1.3gを全体にムラが出来ないように振りかける
⑧軽くお玉で混ぜたり、鍋を火から離さないように煽ったりしてよく混ぜる
⑨皿に盛り完成!
結果
・炒めはじめは挽き肉風味の、肉を焼いているような旨そうな香りがしましたが、仕上がりでは香りは飛んでおり特に油の影響は感じませんでした。
・味は、確かに旨味を感じました。挽き肉の旨味成分とか脂が炒めた油にしっかり染み出しているんだなとはっきりわかります。使用したのが豚挽ということからかラード(豚脂)に近い感じ。
⑶挽き肉を炒めた油で炒飯を作り、具として挽き肉を入れ、油の味が挽き肉にかき消されないか影響力を調べる
—-検証手順—-
①⑵で作った炒飯を再び加熱した鍋にいれ、軽く温めなおす
②⑴で炒めた挽き肉30gを加え、軽く混ぜ、全体を温める
③皿に盛り完成!!
結果
油の味は挽き肉にかき消されない!
⑵の結果でも書きましたが、炒めた油はラードに似ていたので、仕上がりの味は”ラードで炒めた炒飯に具として挽き肉をいれた感じ”になりました。つまり油の味は、挽き肉の風味が弱くなったものではなく、旨味のあるコッテリした味わいというイメージです。
⑷挽き肉を炒めた油と、塩を振った挽き肉を炒めた油の味に違いがあるのか調べる
※⑴とほぼ同じ手順です
—-検証手順—-
①鍋に油25gを注ぎ、挽き肉100gを広げ、塩1gをまんべんなく振りかける
②ガスコンロにつけた印につまみ合わせ、一定の火力で挽き肉を5分間炒める
③油に浸かっていない部分が生なので、塊をひっくり返すように混ぜる
④火を止め、秤に乗せた鍋に挽き肉と炒めた油をあけ、重さを計る
⑤挽き肉とざるを取り上げ、残った重さと④の重さを比べる
結果
塩を振って炒めた油と、振ってない油それぞれを舐めたが違いは分からなかった!
また、
(炒めた挽き肉+炒めた油)= 97g
(炒めた挽き肉+炒めた油)ー(ざる+挽き肉)= ー80g
よって、
炒めた挽き肉= 65g
となり、35g減ったことになります。
更に、
炒めた油= 32g
となり、7g増えたころになります。
塩を加えずに炒めた場合と比べると、炒めた挽き肉が2g減っていますが炒めた油は変わらず32gであるため、塩の影響で挽き肉から明らかに成分が染み出したとは言えなさそうです。
(油が2g増えていればより多くの成分が染み出したと言えますが、挽き肉でけが2g減っているため、炒めている時に挽き肉が鍋の外へ飛び跳ねたなどの可能性が考えられます。また、数グラムの誤差を含む精度の検証なのでもともと2g程度の違いでは何とも言いにくいですが。更に言うと、1g以下であれば挽き肉の成分の重さが増えていた可能性もあります。)
↓この油も白濁していました。
↓油を数分加熱してやると白濁色ではなく薄い黄色っぽい透明な液体になりました。
↓再加熱した油を冷蔵庫で冷やすと白濁色に戻り、また固まりました。
ちなみに塩を振った挽き肉は程よく味がひき立っている(感じがする)ため、炒飯の具として挽き肉を加える際に塩加減を調整が必要ない点は楽です。
3.結果どうだったか
- ・100gの挽き肉から7gくらいの何かしらの成分が炒めた油に染み出した
- ・挽き肉を炒めた油は、香りは変わらなものの味はラードのような旨味やコクがあった
- ・挽き肉を炒飯の具としても、挽き肉を炒めた油で作った炒飯の味の影響を感じた
- ・塩を挽き肉に振っても染み出す成分が明らかに増えた訳ではなく、油の味の違いは感じなかったが、塩を振った挽き肉は具として美味しかった
4. 結果仕上がりは変わったか?
結果的に、「挽肉を炒めた油で炒飯を作ると美味しくなるのか?」という疑問の答えは、
挽き肉から旨味成分などが油へ染み出し、炒飯を美味しくする!
と言えそうです。
つまり挽き肉炒飯を作るときは、挽き肉を油で炒めるところから始め、炒めた油を炒飯へ利用するという順番が良いでしょう。
また、あらかじめ塩を挽き肉に振っておく場合は、浸透圧により油へ染み出す旨味成分が増えたとは感じられませんでしたが、挽き肉がムラなく美味しくなるという意味でいい方法だと感じました。
頂いたコメントからまた新たな炒飯に関する(?)知識を得ることが出来ましたね・・・!
不完全なところも多い検証でしたが、実際に調理していると中々楽しかったです。
最後まで読んでくださりありがとうございます!!次の記事も是非読んでみて下さい!
[炒めた油を使わない「挽き肉炒飯」記事
]
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挽き肉炒飯お疲れさまでした!凄い量の挽き肉ですねこの量使うなら豚になっちゃいますね(((^^;)w牛は高値の華(*´-`)
油のグラム数測るのは笑いましたww
以前のカリカリ挽き肉炒飯を見て、 安い肉、淡白な肉や魚等によく使う方法で片栗粉や小麦粉で表面をコーティングし、旨味を閉じ込め中をふっくら外カリカリにするという調理法がありますが挽き肉で同じ事をやってみたら食感はやはりしっかりしましたよ。そのかわり旨味を閉じ込める(肉汁等を外に全く出さない)ので全体の馴染みが悪いかな~という印象になりました。
まぁあこの辺りは好みですね、ご参考になればと思います。
あっ、と驚く炒飯アイデア、技法まってます(^^)
コメントありがとうございます!
豚の挽き肉も結構おいしかったのですが、次作るときは牛というマドンナがいいですね。・・・。
片栗粉や小麦粉でコーティングする手法はともて面白そうです。本当に肉汁が外に出ないかどうか、またグラムとか計って調べてみたいです(笑)次は誤差をなくすためにもっと厳密な方法で・・・。
読んでくださってありがとうございます!アドバイスも頂けて。嬉しいです!