「毛湯餡かけ炒飯」本格中華スープ作りのコツ

「お店で食べるような中華料理を家庭で再現することが出来れば・・・」

お店で食べるような本格中華料理を家で再現するには、いろいろと物理的に難しい点があると言われています。
・店に比べ家庭のコンロが火力不足(10分の1くらいらしい)
・料理道具を買いそろえるのが大変(骨も断つような中華包丁とか)
・スーパーに売っていない食材の購入が大変(ツバメの巣とか)
・時間と手間をかけた中華スープ(毛湯や清湯とか)
以上の4つが家庭での再現を難しくしている主な理由だと思います。

逆に言うと、この4つの条件が家庭でもそろっていれば、レシピを知り技術を身に着けることでお店で食べる本格中華料理を家庭でも作れてしまうはずです。(技術と知識が一番難点であると思いますが・・・)

そこで今回は、家庭で再現が難しい点のひとつである、時間と手間をかけた中華スープ”毛湯(マオタン)”の作り方をご紹介します
「毛湯って?」と思われた方も多いと思いますが、鶏、豚ガラを水で煮込んでだしを取ったスープのことです。(中華には”~湯”というものがいくつかあります。それぞれ特徴がありますが、簡単にいうと全部鶏がらスープみたいなもんです。)

私がネットで調べたレシピを色々実践してみた結果をふまえ、失敗パターンやコツについてまとめてみました
(ご紹介するコツはラーメンのスープ作りや、フランス料理のブイヨン作りにも活かせる知識だと思います。また、今回ご紹介するレシピでは豚ガラが手に入らなかったので豚骨で代用しました。「そんなの毛湯じゃない!」と言われてしまいそうですが、まあ美味しいので許してください。)

塩のみで毛湯を味付けし、とろみをつけ餡かけとして炒飯にかけてみました。具や調味料は最小限にし、毛湯の厚みのある味わい出来る「毛湯餡かけ炒飯」を作ってみてはいかがでしょうか

目次

 

要点だけ知りたい方は2.毛湯作りのコツと失敗パターンへどうぞ。



1. 毛湯作りの準備

本来、毛湯はは鶏ガラと豚ガラ、香味野菜を煮込んで作ることが多いのですが、今回は豚ガラを豚骨で代用したいと思います。
私自身豚ガラをお店で見かけたことがないですので(お肉屋さんに行くか、ネットショッピングか、マニアックなものまで置いているスーパーに行くしかないです)、たまにスーパーで見かけることのある豚骨(げんこつ)で作っていきましょう。

さて、今回毛湯を作るにあたって用意する食材は、

–毛湯の材料–

鶏がら:1羽
豚骨(げんこつ):1本 (げんこつ以外の骨、豚ガラでもOKです)
長ネギの青い部分:写真くらい(割とテキトウで大丈夫です)
生姜:写真くらい (スライス数枚)
水:3.5L(煮込み用)、適量(下茹で、血抜き用)

以上を用意してください。
ニンニクをいれるとかコショウをいれるとか様々な意見はあると思いますが、お好みで加えれください。基本的には長ネギか生姜と鶏、豚ガラがあればちゃんとしたものが出来ます。(長ネギか生姜はどちらか片方だけでもOKです)

2. 毛湯作りの失敗パターンとコツ

さて、それでは本題の毛湯作りですが、まずは失敗パターンについてです。
調理をしていく上ではやはり色々な失敗がありますが、もっとも重大かつ起きやすい失敗は、”肉の臭みが残る”ことだと思います。

これはつまり、血や内臓などのアクの原因がスープに溶け込んでしまい、仕上がりに獣臭さが残ってしまうということです。
ただ、この臭みをしっかりとることが出来れば、完成度の高い毛湯を作ることが出来ます。そこで臭みの取り方について、私が重要だと思うコツについて書いていきます。
(→「豚足煮干しスープ炒飯」中級ラーメンスープでも臭み取りについて触れています)

血抜き(1時間)
下茹で(40分)
洗う(数分)
水から煮込む(3時間)
豚骨を砕く
香味野菜をいれ臭みをとる

の順に仕上げていきます。私はこれらの工程をこなすのに4時間以上かかりました。お店では常にグツグツとスープが煮込まれている状態であり、そのスープから餡かけや中華スープ、麻婆豆腐を作っているそうです。
「4時間もやってられんわ・・・」という方は多いと思います。この手間が家庭でお店のような中華料理を再現しにくい理由であり、少し味は落ちても手軽さを優先したものが鶏がらスープやウェイパーにあたるのです。
ただ、実際に4時間以上もつききりで鍋の前にいる必要はありません。また、個人的意見ですがだしをとる作業はとても楽しいです。

①血抜き
鶏ガラ、豚ガラそれぞれを水につけ、血を抜きます。血がスープに溶け込むと臭みの原因の1つであるため、出来るだけ取り除いておきます。

ガラが冷凍されている場合は水に浸けておくことでついでに解凍にもなりますね。
水に浸けておき、とれるのであれば内臓や血合いなど骨と肉以外は手で取り除いておくとのちのち楽です。
30分で一度水をかえ、計1時間ほど水に浸けておくといいと思います。(水が徐々にピンク色になるため血が水に溶けだしているんだな・・・と実感できますよ)

②下茹で
沸騰したお湯にガラをいれ、予め茹でておくことで仕上がりに臭みが残ることを防ぎます。
鶏ガラの下茹では短時間であり、たっぷりと沸騰させたお湯に30秒ほど浸し、表面が軽く白くなった時点で取り出します。鶏ガラの下茹ではすぐに終わります。

しかし、豚骨の下茹でにはなんと40分もの時間をかけます。豚骨はとてもアクがでるため、下茹でで40分間しっかりとアクを取り除きます。どうせ下茹でしたお湯は捨てるのでアクをとる必要はないはずですが、何となくアクを救い続けました。基本的には放っておいて大丈夫だと思います。

③洗う
鶏、豚骨の下茹でが終わったり茹で汁を捨て、流水や溜めた水の中で改めて内臓や血合いを取り除きます。場合によってはたわしでゴシゴシとこすってアクの原因となる部分を取り除きます。このときしっかり鍋も洗っておきましょう。

④水から煮込む
鶏、豚、鍋それぞれしっかりと汚れを落としたら、鍋に水3.5Lを注ぎ、そこに鶏ガラ、豚骨を沈めます。沸騰したお湯でなく水から煮込むことでより旨味などがスープに染み出すそうです
アクが浮かんで来たら随時すくい取って捨てていきます。これを丁寧にやることが完成度の高さに直結するため、頑張って取り続けましょう。
最初は永遠にアクが出てくる気がしますが、しばらくするとほとんど出てくなくなるのでそれまで辛抱強くとり続けます。
沸騰具合は、水面がゆらゆらするだけでは火が弱く、ボコボコと沸き立っていると火が強すぎます。
「火が弱いのがだめなのは何となくわかるけど、なんで強すぎるとだめなんだ?」
と思う方もいらっしゃるでしょう。実は味が悪くなるという訳ではなく、見た目が変化するのです。
強く沸騰した状態や、激しくかき混ぜたりしてしまうと、スープ(毛湯)が濁るのです。そのため澄んだスープに仕上げるには、沸騰させすぎず、またスープをかき混ぜてはいけません。スープが減ってきたら火力は一定でも沸騰が激しくなってしまうので、スープの蒸発に合わせて火力を弱めていきます。
(下の写真では火力を落とすのを忘れていたため、白濁色になってしまっています・・・)

また、鶏ガラと豚骨は出来るだけ砕いたり小さくちぎったりしておきましょう。
よく見かけるレシピでは、豚骨をあらかじめハンマーやペンチ、のこぎりでで砕いていますが、私は非力なためかこれらの道具をつかっても豚骨にひびを入れる程度で、砕けたことがありません。なので煮込んである程度柔らかくなってから砕くことにしています。

⑤豚骨を砕く
1時間30分ほど煮込んだところで、静かに豚骨を取り出します。(雑に取り出すとスープが濁ってしまうらしいため)
袋などにくるんで家の外に持ち出し、100均で買ったハンマーでガンガン叩きました。すると両端の丸っこい部分は砕くことが出来ました。(骨の真ん中の棒の部分を砕くには、もっとしっかりとしたハンマーか、もうしばらく数時間煮込んでからハンマーやペンチで砕くと良いと思います。)

砕いたり切ったりすることでだしをとりやすくします

⑥香味野菜をいれて臭みをとる
長ネギ、生姜をいれてさらに臭みを取ります。臭みをとるには、ニンニク、玉ねぎ、コショウなども有効です
ニンジン、キャベツなどを加える場合もありますが、これは臭みとりではなく味つけのためです
野菜を入れるタイミングは仕上げ前の数十分程度(20分とか)がいい、という意見と、鶏ガラなどを入れるタイミングで一緒に入れてしまっていい、という2つの意見があります。それぞれに言い分があるようで、野菜の見込みすぎはえぐみがでるとかなんとか言われていますが、2つのタイミングそれぞれで作っているお店があるということは、どちらでも美味しいということだと思います。私も両方のタイミングで作ったことがありますが、長く煮込む方が野菜の味を感じるかな・・・?程度の違いなので、あまり深く考えなくてもいいと思っています。

以上が毛湯作りのコツとなります。なんだかだらだらと書いてしまいましたが、とにかく臭みをとることが大切です

3.「毛湯」レシピ

この章は、先ほどの”2. 毛湯作りの失敗パターンとコツ”の内容をまとめたものです。

–毛湯の材料–

鶏がら:1羽
豚骨(げんこつ):1本 
(げんこつ以外の骨、豚ガラでもOKです)
長ネギの青い部分:写真くらい(割とテキトウで大丈夫です)
生姜:写真くらい (スライス数枚)
水:3.5L(煮込み用)、適量(下茹で、血抜き用)

—-毛湯の手順—-

①生姜をスライスし6枚、長ネギの青い部分を3本程度用意する

②鶏ガラ、豚骨を水に浸ける。内臓や血合いを手で取り除く。30分たったら水を捨て新たに注ぎ、更に30分水に浸け、また水を捨てる

③鍋にたっぷりのお湯を沸かすし、鶏ガラを30秒ほどいれ取り出す。豚骨は40分ほど下茹でする。

④鶏ガラ、豚骨を流水またはボウルなどに溜めた水で洗う。内臓や血合いを手で取り除く。このとき鍋も洗っておく

⑤鍋に水3.5Lを注ぎ、鶏ガラ、豚骨を沈め火にかける。沸騰したら火を調節し水面がぽこぽこと軽く泡立つくらいにし、浮いてきたアクを随時すくい取ってい

④アクの量が減ってきたら①で用意しておいた生姜、長ネギを加える

⑤1時間30分くらいのタイミングで豚骨を静かに取り出し、ハンマーやペンチ、のこぎりなどでなんとか砕いたりして小さくし、よりだしが出やすくする。
砕いたら再びスープに静かに沈める

⑥アクをとり、沸騰具合を調整つしながら3時間ほど煮込んだら火を止める。ざるにキッチンペーパーをのせ、そこに静かにスープを注いでいく

⑦スープを濾し、固形物を取り除いたら完成!

4.「毛湯餡かけ炒飯」レシピ

それでは先ほど作った毛湯を使って餡かけ炒飯を作っていきましょう!

–餡かけ炒飯の材料–

ご飯:0.5合(160gくらい)
卵:1個
塩:0.8g(炒飯用)、1.6g(餡用)
キャノーラ油:小さじ4
片栗粉:小さじ2
水:小さじ2
毛湯:200ml

—-炒飯の手順—-

①ご飯を炊き、0.5合分を皿に広げておく。
塩0.8gを計量しておく。
卵1個を軽く溶いておく。

②鍋を強火で空焼きし(普通の鍋(テフロンとか)の場合は終始中火で)、油小さじ4を鍋に馴染ませ、油をよく温める(卵液をいれるとジュッ!というくらい)

③油の溜まったところに溶き卵を一気に流し込む(卵をぶくぶくと揚げるように加熱すると美味しくできます)

④お玉で、全体が半熟になるようにかき混ぜる(油を生の部分に油を吸わせるように、固まってしまう部分がなく全体が半熟になるように。)

⑤半熟卵の上にご飯を投入し、お玉で押し付けて広げる

⑥飯を卵に押し付けるように絡ませ、米粒1つ1つが卵で薄くコーティングさせるイメージで混ぜていく

⑦ご飯がパラパラにほぐらたら、鍋底に炒飯を広げ、塩0.8gを全体にムラが出来ないように振りかける

⑧よく混ぜ、火から鍋をなるべく離さないようにして煽る

⑨計2~3分炒めたら火を止め皿に盛る

—-餡かけの手順—-

⑩毛湯200mlを温める


↑一度冷やしてしまったので、ゼリー状になってしまっていますが、温めると液体に戻ります

⑪片栗粉小さじ2と水小さじ2をしっかり溶く

⑫火を弱火に資、3回くらいに分けて水溶き片栗粉を加えてはかき混ぜることを繰り返す

⑬とろみをつけたら強火にし15秒ほど沸騰させる

⑭炒飯にかけ、完成!!!

5. 味の感想

・毛湯の味を直に感じた。うま味やコクなどの厚みがすごい。塩気がちょうどよく、餡としてシンプルながらも味わい深かった。

・餡かけ炒飯には硬めに炊いたご飯が合うと思った。

最後まで読んでくださりありがとうございます!!結構手間のかかる料理でしたが、達成感もあったのではないでしょうか?
次の記事も是非読んでみて下さい!
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【餡かけ炒飯の記事:本格餡掛け炒飯2 細かい動作に気を配る

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2 thoughts on “「毛湯餡かけ炒飯」本格中華スープ作りのコツ”

  1. 毛湯作りお疲れ様です(*´-`)すごいですね家庭でつくってみよう。という意気込み!
    本物のガラ(脊髄、肋骨辺りのみのスープ用に処理されたガラ)を使うともっとキレイに仕上がるんでしょうけどまぁあ売ってませんものねー(((^^;)w
    後スープ作りって量を1度に多く作ることも大切かなぁ、と思います。
    そうすることで温度が緩やかに上がる事や、不純物の割合を少なくすることができますからね。少ない量で作ろうとすると対流によってスープがかき混ぜられすぎる状態になりどうしても不純物が目立ち濁りがちになっちゃいますしねー。

    1. コメントありがとうございます!
      スープ用のガラがあるとは知らなかったです!検索してみるとネット通販で買えそうですね。他にもモミジや豚背ガラなどあったのでスープ作りの幅が広がりそうです。
      スープ作りでは一度に作る量が大切であることも知りませんでした!温度変化や不純物や対流など、言われてみて気がつきました。大きな寸胴を買った方がやはりクオリティーを高められそうですね・・・。いつか買いたいものです。
      毛湯などのスープ作りはまだまだ奥が深いので、こらからも続けていきたいです。何かアドバイスがあればまた教えて頂けるととても嬉しいです!!

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